教学設計
 
第20号 2003/7
概要
「世界に一つだけの花」の歌詞の学習を通じて、自分の個性について見つめ直すと同時に、他人の個性を尊重する態度を養う。
目標
情意目標
○歌詞の理解を通じて、自分の素質や個性について内省し、理解を深める。
○他人の個性を尊重する姿勢や異なる価値観を受け入れる寛容な態度を養う。
言動目標
○読解における推測力を身につける。
○歌詞に出てきた、語彙や文型、音の変化を学ぶ。
学習文法・文型
・「~ないで」
・「~がる」
・~てあげる
・「~ように」
対象学習者
高校『日語』1-5 「~ないで」
高校『日語』2-13 「~がる」
高校『日語』1-1,2-1 「~ように」
授業のヒント
用意するもの
・ワークシート1、2を人数分(ワークシート希望の方はhidamari@tjf.or.jpまでお便りください。数に限りがあります)
・「世界に一つだけの花」のテープまたはCD、SMAPの写真
事前準備
「世界に一つだけの花」のテープもしくはCDを手に入れておく。生徒や知り合いの日本人留学生、日本人教師などに聞いてみるといいでしょう。
1. 導入
〈発話例〉
教師
「この人たちを知っていますか」
「何をしている人たちだと思いますか」
「この人たちが出ているドラマを見たことがありますか」
「この人たちが歌っている歌を知っていますか」
など

如果班里有同学对SMAP非常熟悉,也可以请这位同学来进行说明。

2. 読解
(1)
ワークシート1を配付し、語彙リストを参考にしながら、空欄以外の歌詞の意味について考えさせる。
(2)
ワークシート2を配付し、「1.歌を聞く前に」の問題を解かせ、ワークシート1の空欄に入る歌詞を推測させる(この時、ワークシート1の空欄にはまだ歌詞を記入しない)。
  • 在这个阶段不需要深入理解歌词,也不必对歌词逐句翻译,重要的是掌握歌词大意。
  • 猜测歌词的内容,有助于培养推测-检验形式的阅读理解能力。还可以明确下一步听歌曲的目的(即确认答案)。
3. 内容理解の確認

答:
(1) C
(2) E
(3) A
(4) B
(5) D


可以对句子与句子的连接做补充说明。
(1)这里是看到了摆在花店里的鲜花而产生的感想进行叙述的部分。注意“けど”。
(2)用“比べたがる”“一番になりたがる”等相同的表达方式来形成节奏。
(3)注意“花”和“きれい”。
(4)这里是对从花店里走出来的买花人的描写部分。
(5)注意“小さい花や大きな花”“ナンバーワンにならなくてもいい”

4. 文法解説
  1. 「~ないで」(高校『日語』第1冊第5課)
    ● この中で誰が一番だなんて争うこともしないでバケツの中誇らしげにしゃんと胸を張っている。
    (1)
    「この」は「花屋の店先に並んだいろんな花」を指している。
    (2)
    ここでの「~ないで」は付帯状況を表す。「ないで」には主に三つの用法がある。
    A.付帯状況:「…しない状態で…する」という意味を表す。(=~ずに)
     例:子供が帰ってこないので、両親は夜も寝ないで心配していました。
    B.代わりに:「…ではなく、代わりに別のことを行う」という意味で対比的に述べる。(=~ずに)
     例:火曜日は、李さんが来る日ですが、今日は李さんが来ないで、張さんが来ました。
    C.「~ください」「~ほしい」「~あげたい」などの依頼や願望を表す表現といっしょに使う。
     例:そこに荷物を置かないでください。/このことは誰にも言わないでほしい。
  2. 「~がる」(高校『日語』第2冊第13課)
    ● それなのに僕ら人間はどうしてこうも比べたがる。
    ● 一人一人違うのにその中で一番になりたがる。
    「~がる」は感情や感覚を形容詞や形容動詞に接続し動詞を形成する。普通は主体が三人称の時に使う。
    例:劉さんは日本の歌のCDをほしがっていましたよ。
    しかし、この歌詞の中では、主体(僕ら)は一人称で、「僕ら」を客観的に述べている特別な用法である。
  3. 「~ように」
    ● 困ったように笑いながらずっと迷っている人がいる。
    ● 咲いてた花のように
    比況助動詞「ようだ」の連用形。比喩的用法(高校『日語』第1冊第1課)。
    ● 誰も気づかないような場所で
    推量助動詞「ようだ」の連体形(高校『日語』第2冊第1課)。ここでは、「あの日[誰も気づかないような場所で咲いてた花のように]笑顔をくれた」という倒置が起きている。
  • 让学生意识到使用课本学习日语句型和日语的实际运用(这里指对歌词的理解)是密切相联的。让学生对日语学习产生成就感并使其领会其中的乐趣非常重要。
  • 如果语法解释耗费时间,也可改日进行说明。
5. 音の変化
  1. ワークシート2の問題3の答えを書かせて、音の変化(縮約や省略)について説明する。
    (1) いろいろな→いろんな
    (2) あるけれど→あるけど
    (3) 咲いていた花→咲いてた花
  2. ほかの例も挙げて、必要に応じて説明する。
    1. ~ている→~てる
      例:待っている→待ってる
    2. ~ていく→~てく
      例:弁当を持っていく→弁当を持ってく
    3. ~ておく→~とく
      例:準備しておく→準備しとく
    4. ~てしまう→~ちゃう
      例:忘れてしまう→忘れちゃう
    5. ~でしまう→~じゃう
      例:飲んでしまう→飲んじゃう
    6. そのほか:すみません→すいません、とても→とっても、あまり→あんまり

    课本上很少对音便进行说明,但在实际的日语会话中经常出现音便现象。中学生阶段即使不能运用这些形式进行会话也没有关系,但在听日语的时候有必要注意。

6. 意見交換
(1)
ワークシート2の問題4に対して各自の考えを記入させる。
(2)
クラスを4、5人のグループに分け、それぞれの書いた文章を交換して読ませ、意見の相違点について話し合わせる。
(3)
各グループで話し合った内容を発表させる。教師は発表のポイントを板書する。この時に、そう思った理由や具体的な経験について詳しく話させてもいい。また、教師自身の体験を述べたりするのも効果的である。
  • 这项活动也可以使用母语进行。
  • 重要的是提示学生不要在歌词里找答案,要把歌词作为参考去自己思考。如果教师不做适当的提示,学生只能对歌词进行表面性的理解。
  • 这部分没有明确的答案。重要的是让每个学生认识到自己是“世上唯一的个体”,并以此作为契机使学生去发现和挖掘“别人没有而唯独属于自己的长处”(了解自我)。同时,让学生认识到珍爱自己的前提是尊重持有不同想法和意见的他人,这一点也非常重要(理解他人)。
発展活動:作文とスピーチ
(1)
授業での話し合いや、ほかの人の意見も参考にして、「私のオンリーワン」という題で日本語で作文を書かせる。特に細かく内容を定めなくてもよいが、作文が進まない生徒には、「自分の短所」「長所」、そして、「短所をどう長所にするか」「長所をどう伸ばすか」という視点で書くようにアドバイスする。作文は教師に提出させる。
(2)
教師は提出された作文を読み、誤用があれば、添削して生徒に返却する。
(3)
生徒は作文を暗記する。そして、毎回授業の始めに、1人か2人スピーチを行う。
  • 写作文的过程,会成为学生逐渐地重新认识自己的良好机会。
  • 通过课前小演讲,所有同学都能得到了解属于其他同学的“唯一”的机会,以此培养学生尊重他人的良好品德。
歌詞:世上唯一的花

我站在花店的前面,望着五彩缤纷的花朵
虽说人们各有所爱,但每一朵都是美丽的
它们从不无味较量,争执谁最受人们爱宠
朵朵都是昂首挺胸,自豪地伫立在花桶中
想想我们人类,为何如此爱论高低
明明都不一样,为何偏偏想争第一
我们就是世上唯一的花,拥有自己的籽
我们只需为它开得美丽,全力拼博而已
瞧那个犹豫的买花人,带着困惑的笑容
只因顽强开放的花朵,个个都那么可爱
终于抱着满满一大把,他从店里走出来
看那五颜六色的花束,和他兴奋的面孔
我们就是世上唯一的花,拥有自己的籽
我们只需为它开得美丽,全力拼博而已
不知道叫什么名字,那天给了我笑脸的你
在那不被注意的地方,像盛开的花朵一样
娇美的小花艳丽的大花,每朵都是不同的
不需要争做第一,因为我们本来就是唯一
(编辑部译)

*日本語歌詞は著作権法上、ここに掲載できません。

執筆:杉山充(青年海外協力隊員として、2001から2003年まで、大連市第一中学で日本語教師を務めた。現在、早稲田大学大学院在学中)

参考資料:『なめらか日本語会話』(富坂容子著、アルク、1996)