公益財団法人国際文化フォーラム

学校のソトでうでだめし報告

【後編】レポート「システム思考を身につけて『しょうがない』を乗り越えろ!」 − テンダーさんの「その辺のもので生きる」オンライン講座05

この記事は、前編の続きです。

※今回のレポートは講師本人が書いています
みなさまこんにちは。「テンダーさんのその辺のもので生きる」連続講座・講師のテンダーです。
諸般の事情で私テンダーが今回のレポートを書くことになりました。
講師が自分の講座の意味や良さを解説するのもおかしなものですが、せっかく私が書くのであれば、当日に盛り込みきれなかった話なども含めてお伝えできればと思います。


3. この講座の先にあるもの

というわけで講座のメイン時間が終わった後は、1時間半の延長タイムに突入したのですが、そこではそもそも論であったり、「思い込み」に関する質問が多かったように思います。

最後に、私がシステム思考を学んだその先にあると思っているものを提示して、このレポートを終えます。

A. 今の世界がデザインの結果であると知ること

日本語環境に生まれ育つと従順であることを求められるので、日本語話者の多くは世界や国の有りようを疑いません。

さて、今見えている世界は本当に、あなたがその人生を手放しで預けられるほど信頼に足るものでしょうか?

これは陰謀論などではなく、飲まれずに生きていくには、何度でも「問う」「そして考える」「信頼に足るものかどうかを判断する」必要があるのです。

前提を越えるために、いくつかお尋ねします。

たとえばメディアについて

・なぜテレビの視聴は無料なのでしょうか?

・テレビを通して毎日国民に娯楽が届けられるのはなぜでしょうか?

・テレビ番組の高額な電波料(公共の電波を使うための対価)と番組制作費を支払えるのは「誰」でしょうか?

参考1
令和2年の電波量は1年間で
・NHK 25.1億円(687万円/1日あたり)
・その他民放キー局 6〜7億円(164〜191万/1日あたり)

総務省 電波利用ホームページより

参考2
番組の制作費は1年間で、
・NHK 3605億円(約9億9千万円/1日あたり)
・その他民放キー局 370〜994億円(1〜2.7億円/1日あたり)

note テレビ局は「番組制作費」に1日あたりいくら使っているのか?

・テレビ網を使って「1日に1〜10億円をかけて娯楽を大多数に与えたい立場の人々が、対価として得るもの」はなんでしょうか?

・テレビ網を使って「1日に1〜10億円をかけて娯楽を大多数に与えたい立場の人々」とあなたは対等ですか?

・なぜオリンピックやノーベル賞は重要なのですか(あなたにとって)?

・なぜ自給自足をしている人は「変わった人」や「貧乏な人」として報道されるのでしょうか? なぜ尊敬される対象として扱われないのでしょうか?

観察例1:

自給的な暮らしの目的は「お金をなるべく介在させないこと」なので、貧乏になって当然なのです。なぜならそれが目的ですから。それを「貧乏」と呼ぶ尺度は、資本主義的な意識の側にあるのであって、自給的な暮らしの側にはありません。

飛行機パイロットのことを「自分の足で移動しない人たち」と呼んだり、長距離トラックの運転手のことを「物を何も生産しない人たち」と報道しますか? しませんよね。自給的な人を貧乏と呼ぶのは同じくらい馬鹿げていることであり、そこには無意識レベルかもしれませんが、分断の意図があるからだと私は思います。

たとえば経済について

・ダイヤモンドは人類史の長い間、特に価値を持たない石でした。他の宝石は傷もつきにくく変化せずに価値を減じないので「宝」なのですが、ダイヤモンドは何しろ炭素なので燃えますし、硬いから叩けば割れます。「ダイヤモンドは永遠の輝き」というコピーライトを作ることで転売を抑制して中古市場を失くし、ダイヤ供給網を独占したのは誰でしょうか?

・「大人になったら一人暮らし」や「憧れのマイホーム」という言葉をはじめに言い出したのはどんな立場の人だと思いますか?

観察例2:

お金はインフレを起こしますが、技術はインフレを起こしません。1970年は1ドル=360円でしたが、今日(2021/09/24)は1ドル=110円です。これは、1970年に1000万円持ってた人の資産価値が、今日では305万円分の価値しかなくなっている、ということです(差分は国々に巻き上げられた、ということです)。
ところが1970年に大工だった人は、2021年になろうが大工の技術を持っています。その技術自体は何ら失われません。

・お金は保存が効かない、ということをご存知でしたか?
・また、お金を蓄積するよりも技術を蓄積したほうが社会の影響を受けない、ということをご存知でしたか?

・経済には信用創造という仕組みがあって、例えば世界には「私が持っている1万円」しかお金がなかったとします。この1万円を私があなたに貸すと、「私が貸した1万円と、あなたが借りた1万円。つまり世界には2万円ある」と見なすのが信用創造です。そしてこれを経済成長と呼ぶ、ということをご存知ですか?

・この「経済成長」は、あなたにとって価値がありますか?

たとえば教育について

・大学に行った方が、「行かないより価値がある」と考えているのは誰ですか? また、それは真ですか?

・「新卒は就職」が当たり前なのはなぜですか? 「新卒は旅」でも「新卒はボランティア」でも「新卒は自営業」でも、そんなことは当人が決めればいいことではありませんか?

・そもそも新卒に価値があると決めたのは誰でしょうか?

・なぜ、一人一人の適性を無視して6歳から長ければ22歳前後まで、「全員」座学をするのですか?

・義務教育からの最長16年間、ほぼ毎日1日8時間程度の座学をルールとして課されるのは、「一定の自由を奪う」という刑罰とは何が違うのですか?

・「先生という答えを知っているはずの人」を前に「16年間、ほぼ毎日1日8時間の座学」を課されると、ヒトはどのように成長すると思いますか?

考え出せば無限にあります。私はこういった問いに対する答えの不在の多くが「ありとあらゆるレベルでの広告と教育による最適化の結果」であり、その後ろには意図があると考えています。幼い頃から繰り返し見させられてきた広告の力(呪縛と言って良いと思う)を解いて、「自分の感性で自分の立居振る舞いを決めるための基礎学習」が私たちには必要なのです。


B. 最適化の罠に気づくこと

昨今では「最適化されたことで効率アップ」を謳うサービスや商品がたくさんあります。

ともすると最適化は正義で、最適化されずにエネルギー効率の悪いものは悪であるかのような印象すらあります。

さて、最適化とは一体「誰の視点から」の話でしょうか。

例えば、車のゴムタイヤというのは良くできていて、衝撃を吸収し、エンジンの力を確実に路面に伝え、騒音を減らし、即座に劣化するわけでもなく数年は保ち、必要があれば雪やオフロードに対応できるように表面の凹凸をデザインします。

いわば、「路面の走行」に最適化されたものが現代のゴムタイヤです。
これを別の立場から見てみましょう。


2000年代から、アメリカ・ワシントン州のシアトル市では、ピュージェット湾沿いの河川を修復するために数億円を費やして川底の泥を減らし、その甲斐あってギンザケという魚が産卵のために川を登るようになった。
ところがなぜかギンザケが大量死する事態がたびたび発生する。ワシントン大学の研究チームは数年をかけて、大量死のタイミングが「大雨の直後」という仮説を立てる。

さらに10年以上を費やし、また、車のタイヤに含まれる劣化防止剤「6PPD」が道路で空気中のオゾンと化学変化を起こし、「6PPD-キノン」という物質に変化すると、ごく微量で(0.8〜1.5μg/L)でギンザケの半数致死量となることを突き止めた。

テンダー執筆中の本「めぐる水道局 みずからきずく雨水の輪っか(仮)」より

要は、「人間の都合からしたらタイヤはすでに最適化されていた」わけですが、生態系、こと水性生物やギンザケからしたら「まったく最適化されてない災い」でしかないわけです。

「最適化」という言葉が語られるとき、私に言わせれば十中八九、人間の話しかしていません。

また、最適化は物事の「柔軟性 resilience」を失わせる作用を持つと私は思います。

たとえば昨今のYoutuberたちの発信は、
・刺激にヒトが反応する
・刺激の量をいかに増やすか
・かつ物理的な動画の量を増やす
といった単純な戦略でヒトの反応を「ハック hack」しているように私には見えます。

その結果、全ての動画が同じようなサムネイル、同じようなカット、同じような字幕、に収斂していきますよね。
最適化ってこういうことですよ。

お尋ねします。私たちは最適化された未来を望んでいるのだろうか?


C. システムの挙動を理解していれば、持たざる者も仕組みを変えていけると知ること

私は、考える力と思想、そしてその実践があれば世界にコミット(その一部であることを表明し、深く関わること)できると信じています。

色々事例を考えたのですが、私の人生の10年間の話が最も適切な題材だと思ったので、少し長くなりますが私の人生を通してシステムの挙動の妙を受け取ってもらえれば幸いです。

C-1. テンダーの持たざる半生記

私は23歳から環境活動をしていて、現在38歳です。大学を卒業後の2006年、日本中の使用済み核燃料が集まる青森県六ヶ所村に移住しました。
1年間、核とその廃棄物問題で揉まれ「最低限の前提として、お金から物理的・精神的に自由にならないことには、自分の人生をホールドすることはできない」ということを深く理解しました。

2010年、27歳の時にアメリカの北米先住民技術の学校に行き、その武者修行のために同年9月、神奈川県横浜市から自転車で宮崎県宮崎市まで、テントやタープを持たずに野山に泊まったり、轢かれた生き物を食べたり皮をなめしたりしながら移動して、紆余曲折を経て鹿児島に移住して早10年になります。

横浜を出発した時、貧乏で所持金は2万円でした。(道中一回もアルバイトをしなかったのに、宮崎に着いた時はなぜか4万円に増えていましたが、その話はまたいずれ)

2013年に結婚し、奥さんとその連れ子さんと、現在の住居である電気水道ガス契約なしの、年間家賃1万円の家「てー庵」での暮らしを3人+拾い猫1匹ではじめました。

C-2. オフグリッドを選んだ本当の理由

電気水道ガス契約をせずに、年間家賃が1万円の家に住むと、どうなるとあなたは思いますか?

簡単に想像できることのひとつは、出費が極めて減ることです。ただし私は2012年以後は一度も雇用されていないので、定まった収入もありません。しかし出費も極めて少ないので困ることもありません。

私は「電気水道ガスを契約せずに、年間家賃が1万円の家に住むとメディアが取材に来るだろう」と考えました。

私は環境活動家なので、抜き差しならない環境問題を広く伝えたい、と思っています。ただ、当時は貧乏なうえに何か特別に秀でた技能があるわけでもなく、どうやれば自分の主張を広く伝えられるかを考えたのでした。

たとえば電気だけ、水だけ、エネルギー(薪)だけ、といった「暮らしの部分の自給者」は田舎には割合いるのですが、その全てを総合的に賄おうとしている人は、日本にはほぼいません

そして大脳を持っている私たちは、希少なものに価値を感じるようにできています。だから、持たざる者が持たざることで希少性を生み出せるのであれば、それは取材に値するだろう、と考えたのでした。
(ただし私自身は、希少性というものが本質的な価値なのかを疑っていますが)

取材がいつ来るかはわかりません。しかし、お金をかけない暮らしは維持のためにももちろんお金はかからず、環境負荷は極めて低く、私は信念に背くこともなくストレスもありません。メディア取材を期待しつつも、やってることはそもそもやりたいことである、という磐石な作戦でした。


そしてオフグリッドを実際に始めてみて分かった効用のひとつは「たくましくなる」ことです。

家の改修を業者に頼めば100万円を支払って、技術も道具も材料も残りません。自分で改修すればせいぜい10〜20万円くらいで済み、技術も道具も材料も残るので、次はもっと安く早く改修できるようになります。失うどころか得るものばかりだったのです。

「出費と環境負荷が減り、たくましくなり、環境活動を伝えるための取材依頼が向こうからやってくる」
これが私がオフグリッドを続けた理由です。


そして先に述べたように、ひとつの番組を作るためには目の飛び出るようなお金が必要です。それを私は一銭も払わずに、相手に「望んで」作ってもらうことにしました。

この暮らしを始めて程なく、鹿児島の新聞社から寄稿の依頼がやってきました。それが何回か続き、その後知り合いの紹介から、とうとう地元テレビ局のディレクターから連絡が来たのです。

C-3. 2015年5月、1時間の報道特番が放映される

最初の特集枠での放送が大好評&高視聴率となり、何度か取材を受けました。その後、異例の撮影班密着3ヶ月を経て、1時間の特番放送となりました。

「テンダーの思い」というこの番組は、民放の賞をいくつか取り、さらには全国で何度も再放送がありました。


すると、今度は鹿児島の新聞社から「新聞に連載を持ってほしい」との依頼がやってきました。

その後足掛け3年にわたり、グループ連載と個人連載を担当しました。この連載はとても好評で、年配の新聞読者さん方が、私の記事を切り抜いて財布にしまい、近所のスーパーで友人に見せ合う「リアルいいね」現象が起きていることを方々からたびたび聞きました。

テレビ報道と新聞連載によって、私宛にたくさん講演依頼が来るようになりました。

C-4. 自ら出版者となり、自著を発売する

また、2015年7月に初の著書となる「わがや電力 12歳からとりかかる太陽光発電の入門書(やわらかめ)」を出版。これは出版者となり流通コード(ISDNコード)を取得するところからやりました。

なぜなら、日本の出版は時代錯誤な仕組みで成立していて、3万円を払って出版「者」登録すれば、法人も作らずに誰でも未成年でも印税100%になると気づいたからです。
(従来の出版は、著者には書籍代の10%前後の報酬しかありません。デザイナーやイラストレーターはそれよりも高く、それに対して「取次」と呼ばれる流通がなんと40%近くの利益を得るケースもあります)

参考: ウェブ直販で10000部! 大人気『わがや電力』を作るまでにやった7つのこと

2021年9月現在も本は売れ続け、「わがや電力」は8刷、12500部を直販のみで売り上げています。これによりずいぶん収入が安定しました。かつ、この本の内容は電力自給の解説書なので、電力を自分で賄おうとする12歳があちらこちらに誕生し始めたようです。

本ができるとまたまた講演依頼がやってきます。そして講演をすると本が売れます。すると私の収入にもなるし、環境問題の話もできるし、かつ本を買ってくれた人は電力自給のとっかかりを得られます。全て私が望んでいることです。


そもそも、この本の出版は私が2007年に六ヶ所村を出たとき(実際には「平和運動の内輪揉め」で追い出されたのですが)に自分に立てた誓い「自分は以後、反対運動をするのではなく、エネルギー問題に関わってそのものを解決していく」を8年越しに実践したプロジェクトです。

私は音楽大学卒で、電気技術的なバックグラウンドはありませんでした。電力自給の勉強を始めたのは28歳頃からで、32歳で類書のない技術書を出版することができたのです。私が優秀だと言いたのではなく、私の認識からすると「世界ってそんなもん」なのです。

ほとんどの人が「誰かが解決してくれるその時」を待っていて、自ら学び、自ら考え、自ら実証しないのです。

逆を言えば、自ら学び、自ら考え、自ら実証すれば多くの物事は「もはや事件」なのだと思います。

C-5. 適正な営みが自分をたくましくする

そして、これが私にとっては一番大事なことだったと今となってわかるのですが、

この出版&新聞連載&講演武者修行期間によって、私の「ものを書く/話をする/解説をする」能力が大幅に鍛えられたのです。それが私の今の活動に繋がっていますし、まさに私にこの国際文化フォーラムの連続講座のような依頼が来る理由そのものだと思います。

具体的に言うと、
・環境問題の思想を実践していて、
・理路とともに解説でき、
・話を面白く深めることができる。

この3つをできる人がとても少ないのです。おそらく日本に数人いるかどうか、というレベルではないでしょうか。やっぱり「世界ってそんなもん」なのです。
今では、貧乏だった頃の自分が聞いたら驚くくらいの報酬を、一度の講演で受け取るようになりました。

中高生のみなさんへ

変な肩書きで希少性を持たせようとする昨今のSNSユーザーのしょうもなさに影響を受けずに、ちゃんと実践できる技能の希少性によって、おびやかされない市場を開拓していってください。自称の肩書きほどどうでもいいことは、世の中に他にないと私は思います

C-6. 10年越しに目的に届く

その後も、たくさんの素晴らしい経験が続いて今に至るのですが、最後にひとつだけ意義深い出来事を取り上げます。

2017年12月、経産省、電事連、NUMO、信頼資本財団らが主催した核のゴミの地層処分のシンポジウム「核と鎮魂」に私は登壇しました。事前に資源エネルギー庁のお役人が、資料を持って事前説明に鹿児島までやってくるようなイベントで(その旅費はもちろん税金ですよ!)、言いたいことは山ほどありますが、話が逸れるのでやめておきます。

六ヶ所村で、ヒッピーとしてフェンス越しに反対運動をしていた無学の23歳から10年。
そのフェンスの向こうのはるか先、霞ヶ関の責任者そのものに請われて、直で話ができた一件でした。(もちろん私はNUMOの公表しているデータを読み込んで、地層処分とその進め方をけちょんけちょんに反対したのですけど)

なぜ私がこのシンポジウムに呼んでもらえたのでしょうか?

理由はなんと、このイベントの中心部に報道特番「テンダーの思い」を見て以来、面識もない私のことをずっと応援してくれてた人がいて、登壇者として推薦していただけたから、なのでした。


10年間の話をまとめます。

・エネルギー問題(と日本の平和運動のグロテスクさ)に揉まれ、反対運動ではなく、答えを生きる体現としての人生を私は選びました。原発に反対するのではなく、具体的に自家発電と山水と薪で暮らすことにしました。
・その様は報道価値があるはずだと私は推測し、推測通りに取材してもらうことによって、自分の声をとても遠くまで飛ばすための基礎として、以後その映像が力を持つことになりました。
・その発信能を新聞連載と出版でより強化することができました
・その全てが、私の収入になりました。私はライスワークをしなくて済むので、時間が温存され、ストレスは減り、この一連により社会の構造的な暴力から離れることができます。
・また、一連が全てトレーニングとしての機能を持ち(ルーティンワークではないので、都度考えるから)、技能向上のための時間をわざわざ設ける必要がありません
・反対運動ではないために「敵」認定されず、国のシンポジウムに登壇することができました。
・現在私は、ありがたいことに赤貧ではなくなりましたが、相変わらず「金持ち」でも「大学教授」でも「芸能人」でもありません。鹿児島の山で好きなように暮らしている、一人の環境活動家のままです。何も無理していないし、媚びてもいません。
(家族は子供が2人増えて、さらに来月10月にもう1人増える予定!)


そして今、私は国際文化フォーラムさんの力を借りて、優秀なスタッフの皆さんに手伝ってもらいながら自分の思想を世界中の中高生に伝えて、さらにお金をもらうことが仕事として成立しています。

C-7. 私はただ、運が良かっただけでしょうか?

もちろん運の良さはあるでしょう。でも逆に言えば、同じ取り組みでももっと成功していた可能性(アメリカ大統領になったり)もあるわけで、だから運が良かったのか悪かったのかなんて誰にもわかりませんよね。

私が思うに、重要なポイントは「絡ませ方」なのです。自分の取る行動が「何」に絡んでいくのか? 一つの作業で一つの目的しか満たさないようなやり方では、人生はあっという間に終わってしまいますし、それこそ延々と消耗戦を続けるような日々になるのでは、と推測します。

一つの作業で満たせる複数の目的が、互いに絡み合って崩れなくなるようなシステム構造は強固に働くはずなのです。

この地球の生態系や、ヒトの長く続いた伝統は、どうやらそのようにできています。営みが複雑に絡み合い、一つの機能が複数の目的を満たし、それが他者の利益にもなっていることがままあります。

例えば田んぼは、
・地下水を補充し
・洪水を防ぎ
・土砂崩れを防ぎ
・周囲の気温を下げ
・生態系を涵養し
・ヒトの食料と繊維(ワラ)を生産する

などのたくさんの機能を持っています。

まったく同じように、私にとって

オフグリッドの低家賃の暮らしは、
・環境負荷を減らし
・支出を減らし
・収入の必要性を減らし
・労働から解放され時間を生み出し、
・維持のために自分の技術や知識を向上させ
・この暮らし自体が仕事(依頼)となり
・メディア取材が向こうからやってくる

ということです。まさにシステムの挙動でありレバレッジポイント!
そして、契約しない暮らしは「貧乏だからできない」ということがありません。

多くの人にとっていまだに価値を持ち続けている「開かれた選択肢」なのです。


おまけ. 講座のバナーが素敵だったのでTシャツにしました。

本講座を作り込みすぎた実例その1、風桶図のバナー。

方々からお褒めをいただき、一回だけの講座でお蔵入りしてしまうのはあまりにもったいないので、シャツにしました!

Disobey, Be a systems thinker!
(反抗せよ、システム思考家たれ!)
のメッセージ入り。

ダイラボ通販で僅少発売中。


「テンダーさんのその辺のもので生きる」オンライン講座は、希望する参加者は講座終了後もオンラインコミュニティ「Discord」で、復習の成果を共有したり、わからないところを質問し合うことができます。講座を体験した人たちが知恵を交換する自主的なコミュニティが形成されていくことを目指しています。

このオンライン講座は、2023年3月まで続きます。
▶︎ 全講座のスケジュール

▶︎ これまで実施した講座のレポート
第1回「アルミ缶を使い倒そう」
第2回「棒と板だけで火を起こそう」
第3回「3D設計と3Dプリントを覚えて、必要なものを作ろう」
第4回「雨水タンクを作って、水を自給自足しよう」
前編】 第5回「システム思考を身につけて『しょうがない』を乗り越えろ!」テンダーさん執筆)
【後編】 第5回「システム思考を身につけて『しょうがない』を乗り越えろ!」テンダーさん執筆)
【前編】 第6回「その辺の草からロープを作ろう。ロープができれば暮らしが始まる」
【後編】 第6回「その辺の草からロープを作ろう。ロープができれば暮らしが始まる」
秋の特別編「その辺のもので生きるための心の作法 〜『正しさ』を越えて」 テンダーさん執筆) new!
第7回「プラごみから必要なものを作る」
第8回「キッチンで鋳造を始めよう!」テンダーさん執筆) new!
【前編】第9回「鉄工を身につけて強力なストーブを作ろう」テンダーさん執筆)
【後編】第9回「鉄工を身につけて強力なストーブを作ろう」テンダーさん執筆)
第10回「きみのためのエネルギー。 実用パラボラソーラークッカーを作って太陽熱で調理する」テンダーさん執筆) new!
【前編】 第11回「交渉を学び、こころざしを護る」テンダーさん執筆)
【後編】 第11回「交渉を学び、こころざしを護る」テンダーさん執筆)
【前編】 第12回「生き物の輪に戻るためにドライトイレを作ろう」テンダーさん執筆)
【後編】第12回「生き物の輪に戻るためにドライトイレを作ろう」テンダーさん執筆)
第13回「当たり前を変えよう、大切なものを守ろう」テンダーさん執筆) new!

[執筆 テンダー]

[事業担当: 室中 直美]

事業データ

「システム思考を身につけて『しょうがない』を乗り越えろ!」(テンダーさんの「その辺のもので生きる」オンライン講座第5回)

期日

2021年8月1日(日)

実施方法

オンライン

主催

TJF

講師・企画協力

テンダーさん(環境活動家、生態系の再生と廃材利用のための市民工房「ダイナミックラボ」運営)
https://sonohen.life/

参加者

中高校生〜大人 35名(日本、オーストラリア、スイスから参加)

サポーター

井上美優さん、大舩ちさとさん、岡崎大輔さん、木村真理子さん、草谷緑さん、宗愛子さん、武尾祐見さん、中林勇人さん、堀江真梨香さん、松尾郷志さん