「レアリア(実物素材)」を使った中国語学習を実践する愛知県立大学外国語学部中国学科准教授中西千香さんの「んじゃめな!。
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北京に出張したときのこと。
日本でもポピュラーな乳酸飲料の容器をかたどったフライヤーをスーパーで見つけました。
あのときの感動と衝撃は今も鮮明に覚えています。
このフライヤー、当時中国語を教えていた高校生のおみやげにしました。
「きゃー、かわいい。」
定期入れに入れたり、手帳にはさんだり......。
そのときの彼女たちの反応を見て、「こんなに興味をもって大事にしてくれるものを教材として使えたらなぁ」とぼんやり感じたのです。
その後、北京留学中に集めたチラシやガムの包み紙は、クリアファイル4冊にもなりました。
これが現在の「レアリア(実物素材)」を使った中国語学習につながります。
例えばスーパーマーケットのチラシ。
商品の名称、助数詞、価格......。そこには、生きた中国の生活があふれています。
「レアリア(実物素材)」を学習に取り込んだことで、学習者は、それまで遠く感じていた中国という国をぐんと身近に感じるようになります。
年齢に関係なく、学習者の中国に対するイメージがどんどん広がって、楽しみながら中国語が学べます。
そして思ったこと、感じたことを、ワークシートにまとめることで、より深い「気づき」が得られて、学習者たちの学習意欲がぐんと高まります。
「レアリア」を使って中国語を学ぶことをきっかけに、メディアで報道されている悪いイメージだけでなく、もっと中国のことを知ろうとする気持ちをもってほしいし、もっと身近なものに感じてほしいと思います。
そして私は、中国語を学びたいという人の裾野をもっともっと広げていきたい。
そのためにまだまだやりたいことがたくさんあります。
私が中国語と初めて出合ったのは小学生のときです。
中国に対して何の先入観ももたず、近所に住む中国人留学生がおみやげにくれた石けんやお菓子、教えてくれた片言の中国語がただただおもしろく、もっともっと中国を知りたいと思ったのです。それが私の中国語人生の原点です。