旬の食材や年中行事でおなじみの料理、その食材や料理が作られている地域と日本の関係、ルーツなどを紹介するエッセイ「おいしい話あります!」が始まります。エッセイを書いてくれるのは、世界の料理情報サイトe-food.jpを運営されている各国郷土料理研究家の青木ゆり子さんです。青木さんは「食は人と人との距離を縮める」をモットーに活動されています。
また、メルマガのエッセイと並行して、インターネットラジオで新番組「ごちそうリミックス」の配信を開始しました。
ふだん何気なく食べているものでも、目線を変えると発見があったり、新しい食べもので世界が広がったり、そんな食にまつわる「おいしい話」を繰り広げ、毎日の食卓をめぐるコミュニケーションを楽しくしていこう! という趣旨の番組です。青木さんには毎回いろいろな情報をお話していただきます。
メルマガとあわせて、ラジオでも皆さまと「おいしい話」で盛り上がっていきたいと思っています。ぜひラジオもお聴きください。
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◎お正月には、カラフルで縁起のいい魚料理を
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「めでたい」にちなんだ鯛、子宝と子孫繁栄を願った数の子、曲がった腰が長寿を想起させる海老など、日本ではお正月に願いを込めた縁起のいい食べものを食べる習わしがありますが、海外の国々ではどうなのでしょうか。
おせち料理の起源は、日本人が米作りを始めた弥生時代にさかのぼります。その後奈良時代には、中国大陸・朝鮮半島からの渡来文化に影響を受けて、宮中で邪気払いや不老長寿の祈願を行うようになり、おせち料理が発展したといわれています。しかし実は、世界各地にも新しい年のお祝いに「ラッキーフード」を食べる習慣があるのです。
中国では旧正月に、長寿を願う長い麺や、金、幸運を連想させるオレンジやポンカンを食べます。また、中国で「余」といえば「お金が余るほど豊か」であることを意味しますが、「余」の発音に似ている「魚」も縁起物として食べられています。
さて欧米では、こんな食べものがラッキーだとされています。たとえばお金に似ている豆(特にレンズ豆や白黒豆)や、子孫繁栄が願えそうなぶどう、ざくろ、円満を連想させる円形のケーキ、そしてスイスイと泳ぐところが豊富なアイデアを生み出せそうな魚......。またユダヤ教では、お正月に甘い(sweet=すてきな)年になるようにと、蜂蜜をかけたりんごや、その年の「かしら」になれるようにと魚の頭を食べます。
こうして見ていくとおもしろいことに、文化や宗教は違っても、日本を含めて「魚」を縁起のいい食べものだと考えている文化圏が多いことがわかりますね。確かに、まるごと1匹の魚料理が並ぶだけで新年の食卓が華やかになり、何かいいことが起こりそうです。
そこで今回は、カラフルなカリビアンスタイルでグリルした鯛のレシピをご紹介します。カリブ海ではフエダイの仲間のRed Snapperがよく獲れ、日常的に食べられています。日本の鯛料理もいいけれど、おせちに飽きたらちょっとトロピカルな味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。
■鯛のグリル カリビアンスタイル
【材料】4~5人前
鯛 尾頭付きで1尾(ワタを抜いて鱗を取り、よく洗ってからペーパータオルで水分を拭き取り、両面に包丁で3ヵ所ほど飾り包丁を入れておく)
たまねぎ 中1個(みじん切り)
タイム 生の葉(4~5本)が好ましいが、なければ粉状のものをひとつまみ
パプリカ粉 小さじ2
ビール(魚の臭み消し用。苦みの少ないものがよい。飲み残しでよい)100ml
レモン 1個(輪切り)
塩(あれば岩塩) 適量(魚の大きさによる。魚の表面、内側にすりこむ)
イタリアンパセリ 少々(飾り用)
レタス 5~6枚(飾り用)
トマト 1個(飾り用。くし切りにしておく)
ピーマン 1個(薄い輪切り)
【作り方】
1. 鯛の表面、内側に岩塩をすりこむ。
2. ビール、たまねぎみじん切り、タイム、パプリカ粉をボウルの中に入れて混ぜる。
3. 鯛をバット(または耐熱皿)に入れ、2をまんべんなく全体にかけてマリネする。輪切りにしたレモン1個分の半分を鯛の表面の切れ目や中に入れる。
4. 3にラップをかけて冷蔵庫に入れ、1時間ほど寝かせる。
5. オーブンを180度に予熱し、4にアルミホイルをかけて30~45分ほど焼く(焼き時間は魚の大きさによって加減してください)。
6. 5をオーブンから取り出し、レタスを敷いたお皿の上に移す。鯛の上にマリネ液を少しかける。
7.6の鯛と鯛のまわりに残りのレモンと、トマト、ピーマン、イタリアンパセリを飾って. できあがり。
▼ インターネットラジオ「ごちそうリミックス」
https://www.tjf.or.jp/gr/