りんご記念日応援団いっこく堂さん

  • 記事更新日:

海外公演では必ずその土地のことばにチャレンジ! 口を動かせない腹話術で外国語を発音するのはとても大変なはずなのに、お客さんとつながる手応えでやみつきに...。

pic-i20141112.jpg

▼そのことばをやろうという気持ちがいちばん大事
2004年に中国で初めて腹話術を披露しました。上海で行われた芸術祭に参加したのですが、最初は字幕か同時通訳にしようという案でした。でも、冒頭だけでもいいから中国語でしゃべりたいって思ったんですね。
中国語の先生について3ヵ月、必死で練習しました。先生が吹き込んだテープを繰り返し聞いて真似するわけです。しかも、それを腹話術でやらなきゃいけない。
先生は目をつぶってぼくのせりふを聞くんです。すると、「違うよ!そこは口をもっと動かして!」「いや、動かしちゃダメなんです。」
中国語は本当に難しい。

芸術祭当日。丸暗記でしたが、冒頭の18分は中国語でやりました。残り1時間は字幕でしたけどね。中国語の第一声で、会場が温かくなりました。心の距離がぐっと近くなるんですね。それ以前にアメリカで英語の腹話術を披露したことはあったんですが、そんな空気を感じたのは初めてでした。

これがきっかけになって、アジア、ヨーロッパに行くようになりました。披露したことばは、タガログ語、タイ語、中国語、ドイツ語、フランス語、ポルトガル語、韓国語。
タガログ語、ポルトガル語、韓国語はわりとやりやすいですよ。あくまでも発音に関してですけどね。

外国語をやるのは大変でいやなんですよ、本当は。芸についてもいえますけど、新しいものをやるときは常にプレッシャーがあって、いやだ、何でこんなことをやろうとしたんだろうって思うんです。でも終わって時間が経つと、苦労を忘れて、達成感だけが残っていて、また違うことばをやってみたいと思ってしまうんですよね。
お客さんにうけたという達成感。気持ちを開いて聞いてくれているのがわかるんです。それはやっぱりその土地のことばをしゃべっていることが大きいと思いますね。そのことばをやろうという気持ちがいちばん大事。それで人とつながっていくんです。