主体的に『舞姫』を読む
高校の現代文の授業を変えたい、そんな思いからのチャレンジである。ねらいは主体的に文学作品を読み味わい、読んだ内容を効果的に伝えるだけでなく、自分たちがどう理解し何を考えたかについて述べられること。グループ内の話し合いやグループ間の相互評価も、受け身からの脱却につながっている。
Category
- 言語
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- 日本語
- 対象
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- 中高生
- 活動タイプ
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- プレゼンテーション
- 鑑賞
- アウトプット
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- ワークシート
- 話題分野
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- ことば
- 交通と旅行
- 地域社会と世界
- 日常生活
- 自分と身近な人びと
- 趣味と遊び
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単元目標
学習レベル4+(高校3年生の日本人の現代文の授業で実施)
○ 自分の力で文学作品に興味を持ち読み進めることができる
○ 内容が伝わる効果的なプレゼンテーションの方法をグループで模索し実施する
○さまざまな角度からグループで検討し、そこから導かれた自分の考え、見解を他者に伝えることができる
○ 他のグループのプレゼンテーションを、ルーブリックを用いて、妥当性のある評価をし、良い点や改善点について的確に表明できる
○文学作品の面白さを感じとり、積極的な読書活動につなげる
<この単元案のセールスポイント>
受け身からの脱却、主体的な学びを提供できることが最大のメリットです。
あらかじめ時間数を限定できるので生徒は短時間で集中して取り組み、予定通りに終了することができます。(場合によっては家庭学習の啓発にもなります)
インタビュー
このプランは実践したものですか。
実践してみようと思ったものですか。
実現の可能性はありますか。
実践しました。
どうしてこのプランを作ろうと思ったのですか。
発想の原点はなんですか 。
高校における「現代文」の授業が、講義形式になってしまっていることに以前から疑問を感じていました。考査も「暗記」を要求する内容が多く、「学校の考査での成績はよいのに、模試は全然ダメで…」という声も多く、真の言語力育成の方策を思案しておりました。数年前に、夏目漱石の『こころ』を自主学習メインにすすめていく実践を行い、効果があったように感じたので、今回、森鷗外の『舞姫』でも実践してみようと考えました。
実践してみて生徒の反応はどうですか。
実践していない場合、生徒のどんな反応が予想され、または期待していますか。
「高校3年間で一番頭を使った!」という声をよく耳にしました。今までそんなに何も考えずにただ椅子に座っていたのか、と…(苦笑)。グループ内でそれぞれの個性を考えることで、他者を尊重すること、思いやることが自然とできるようになり、クラス全体の雰囲気も良くなりました。
一生懸命準備をする→高く評価されたい→皆の前に出て緊張する
→良い点や改善点について反応をもらう→充実感、達成感、向上心
と、とても良い流れを感じました。
このプランに対する自己評価を教えて下さい。
また、学習のめやすを取り入れた授業を試みるにあたって、どんな課題や効果があると思いますか。
高校3年次に実施したため、いい「お土産」を持たせることができた、と感じています。自分の中で3×3+3をイメージすることで、今後(進学後、就職後)に繋がっていく、広がりのある導きや啓蒙ができました。
生徒にとっては、特にルーブリックを事前提示し、お互いにルーブリックの記入をし合うことで、力を入れるポイントが明確になり、的を射た努力をすることができる指針となっていました。
同業者仲間に向けて、ワンポイントアドバイスや感想を一言お願いします。
間口の大きい学校では、やはり定期考査が評価の中で大きな比率を占めています。横持ちの先生の理解がなければ実施は難しいのですが、「言語教育」の視点から、是非挑戦してみて下さい。
教師、生徒共に、得られるものは大きいと思います。
執筆者
「外国語学習のめやす」マスター研修の修了者(2014)。参加当時、北海道札幌西陵高等学校教諭(国語)。前任校でロシア語を担当。「外国語学習のめやす―ロシア語教育用―」(2015.3冊子発行)作成プロジェクトメンバー。日露教師合同研修(2015.8)コーディネーター。