2002年10月号 等身大の18歳 |
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私が琴ちゃんを撮り始めたころ、私は自分自身について悩んでいました。正直に言うと写真を撮るどころではありませんでした。それでも、なぜか写真を撮っていると頭がカラッポになって、彼女と向き合うことができました。琴ちゃんはとにかく面白い。カメラを向けると必ず「変な顔」をする。「変なポーズ」をとる。彼女にしてみれば照れ隠しなのでしょうが、私にはものすごくそれが彼女らしかったです。
琴ちゃんは人を笑わすのが好きなんだと感じました。いつも自分に無理をしすぎず、マイペースで自分の感じたこと、思ったことをまっすぐに人に伝えられる彼女を私はとても、「いいなあ」と思いました。学校の琴ちゃんは誰でも話せて仲良くしていけます。バイト先の琴ちゃんは自分の仕事をきちんとこなして仲間に信頼されています。自宅で家族といる琴ちゃんは少しわがままで飼い犬や飼い猫とばかり遊んでいます。そして、私といる時の琴ちゃんは、写真を撮り始めてから、撮り終わるまでに、だんだんと私のほうへ近づいてきてくれたように思います。いろんな彼女を見た私は、私自身が悩んでいたのは、私が無理をしているからだと気付いた。琴ちゃんは、いつでも誰の前でも「自然体」でいます。そんな琴ちゃんといっしょにいると、肩の力が抜けて、私は笑顔になれます。 大阪府立大手前高等学校
後尾久美子 |