2002年10月号 親友の笑顔が教えてくれたこと |
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中学校までの私は、心から笑うことができなかった。友達の会話に合わせて愛想笑いやつくり笑いしかできなかった。自分からほかの人に話しかけることも苦手で、人とのコミュニケーションもあまり上手にはできなかった。「それじゃ中学校のときのこの人って一体……」と思う人がいるかもしれないけど、本当にそうだった。 そんな私に「心からの笑顔」を、身をもって教えてくれた人がいた。その親友の名前は“なっちゃん”。出会いは高校の入学式の日。クラスに誰も知り合いがいなくて不安だった私の隣の席に偶然座っていたのがなっちゃんだった。初対面だろうがお構いなしに、笑顔で話しかけてきた。第一印象は高1にしては幼く見え、声が高くてヘラヘラ笑っていたので、正直言うと「えっ、何、ちょっとヤバイ!?」って思った。だけど、毎日笑顔で、いつも隣にいる私に話しかけてくれる。そんな笑顔に私はだんだんひかれていった。休み時間におしゃべりをしたり、家に遊びにいって勉強(ほとんどしていないけど)したり、映画を見に行ったり。仲良くなっていくうちに、私も自然と笑えるようになっていった。
なっちゃんの飾り気のない笑顔は、人の口元をほころばせる不思議な力がある。「笑えることってすごく幸せなことなんだよ。楽しいから笑うのじゃなくって、笑うから楽しいんだよ」ということ教えてくれた。 秋田県立横手高等学校
佐藤里美 |