2004年10月 兄について考えた |
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親が共働きだったので、兄とはいつも一緒にいました。兄は勉強が嫌いで、部屋はめちゃくちゃです。だらしない生活をしています。夏はパンツ一丁で、家をうろうろしています。それは二つ年下の私にとっては、いいものではありません。「お兄ちゃん、ズボンはいて!」それが、私の切実な願いです。 この文章を書くにあたって、「兄」について考えました。「家族」についても考えました。兄は私を守ってくれているのだと思います。小さい時からずっと、学校が終わって親が帰ってくるまで二人でした。ああしろこうしろとガミガミ、母以上に言うのはそのせいかもしれません。今でも、私が部活で遅くなると、意味不明の電話がかかってきます。みんなは、「おかしなお兄さん」と言いますが、あれは無事の確認なのかなと思います。 このごろ、ニュースを見ていて良かったなと思えることがありません。もしかしたら、私の周りのささやかな幸せを守ることは、すごく大変なことなのかもしれません。今の私は、将来についてのはっきりした目標はありませんが、平和な世の中に暮らしたいという希望はあります。そのために、私にできることがあるはずだと思います。その根底にあるのは、兄や家族に対する愛情です。みんなが身近な人を思って暮らしたら、平和にもうちょっと近づくような気がします。 乗田摩美
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『伝えたい私たちの素顔2003』より。『伝えたい私たちの素顔2003』は、「第7回高校生のフォトメッセージコンテスト」(2003年度開催)に寄せられた日本の高校生の作品をまとめたものです。 |