第11号
2002/4 ぼくの物語 |
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概要ある高校生の挫折とその克服、現在頑張っていることなどの素材文を読み、自分と照らし合わせて考える。
目標情意目標日本の高校生、功二郎の挫折とその克服の体験・現在頑張っていることなどについて知り、自分自身と照らし合わせて考える。
言動目標読解文を読み、作文を書く。
学習文法・文型
・ほうが多い
・なかなか~ない ・~ないで、~ようになる ・~てくれる ・~(よ)うとする ・~ばかり~ ・どんなに~ても 対象学習者高校1~3年
授業のヒント用意するもの事前準備-
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1. 導入読解のための導入として、教師はまず生徒に功二郎の写真を見せながら、彼の現在の生活について日本語で紹介し、次のような問いかけをおこなって、功二郎への興味を喚起する。
※以下の質問は、生徒に自由に想像させて答えさせ、教師は答えを与えない。 <質問>
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2. 素材文を配付する功二郎の「ぼくの物語」の素材文を生徒に配付する。まず中国語で書かれたリードの部分を読むように指示する。黙読でもいいし、指名して読ませてもよい。次に※の質問の答えを日本語で言わせ、功二郎の人物像について想像を膨らませる。 |
3. 素材文「1.小学生のころ」を読ませる次のように読解のための指示を出して、「1.小学生のころ」を読ませる。指示は中国語で与えてもよい。 <発話例>
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4. 語彙・表現を説明する素材文の中で生徒が分からなかった言葉があれば適宜説明する。ただし、説明は最小限に留める。 |
5. 素材文の内容について質問する生徒が素材文を読み終わったら、内容を理解したか確認するための正誤問題に答えさせる。教師は下記の例に示したような正誤文を読み上げる(生徒のレベルに合わせて、適宜正誤文を作り変えたり、新しく加えたりするのがよい)。質問の番号と、○×をノートに書くように生徒に指示する。
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6. 答えを発表させる正誤文の答えについて、生徒に発表させる。素材文の内容と異なる場合、正しいことは何かを答えさせる。このやり取りは、できるだけ日本語で行うほうがいいが、生徒の学習レベルに応じて中国語をおりまぜてもよい。生徒に、自分が言いたい内容をまず中国語で言わせてから、教師が日本語での言い方を示し、生徒がそれを参考に自分の言いたいことを日本語で言えるように導いていくとよい。 |
7. 素材文「2.中学生のころ」を読ませる次のように読解のための指示を出して、「2.中学生のころ」を読ませる。指示は中国語で与えてもよい。 教師「功二郎くんは、中学校に進学してもあまり学校へは行きませんでした。功二郎くんはどのような毎日を過ごしたでしょうか。そして功二郎はどうやって問題を克服したのでしょうか。『2.中学生のころ』の素材文を読んで、考えてみましょう」 |
8. 素材文の内容について質問する生徒が「2.中学生のころ」の素材文を読み終わったら、内容についての正誤問題に答えさせる。
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9. 生徒に発表させる手順5と同じように、正誤文の答えについて生徒に発表させる。素材文の内容と異なる場合、正しいことは何かを答えさせる。 |
10. 話し合わせる正誤問題の答え合わせをしたあとで、生徒に次のことについて話し合いをさせる。
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11. 作文を書かせる手順10の話し合いを踏まえて、功二郎の過去の体験と照らし合わせ、生徒自身の過去の「事件」、今頑張っていること、将来の夢などについて作文を書かせる宿題を出す。 <作文の題の例>
*生徒の作文をぜひ、ひだまり編集部にもお寄せください。 |
ここでは、「読解」のための授業案を紹介しましたが、コピーの使用が難しく、素材文を配付することができない場合は、この二つの素材文を、聴解のスクリプトとして使うこともできます。上記の授業案の手順3、7の読解活動を聴解活動に置きかえます。読解とちがって新しい語句や文型の聞き取りが難しくなるので、聞き取りの前に語句や文型を十分に導入するように留意してください。(聴解の手順は、『ひだまり』第10号の授業案をご参照ください。)
作成者:矢部まゆみ(早稲田大学日本語研究教育センター講師)