2019年3月25日~28日、3泊4日の日程で、東京都八王子市にある大学セミナーハウスを会場に実施した、第2回多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」には、31名の日本在住の高校生が参加しました。参加者のバックグラウンドは、文化的ルーツやこれまで辿ってきたルートから見ると、日本を含む8地域、11言語に及びました。
「パフォーマンス合宿」でめざしたこと
・ことばと身体で自分を表現する
・創造性を刺激し合い、異なる他者を理解する
・協働し、バックグラウンドの違いを超えてコミュニケーションを図る
この目標を達成するために、合宿では、演劇的手法を取り入れたワークショップを中心に、さまざまなゲームや身体活動を通じて交流します。寝食をともにしながら、自分の個性を開放し、他人の個性を認め、グループの仲間と協力してパフォーマンス作品を創りあげることを通じて、ありのままの自分を表現したり、多様な人と関わったりする自信を深めていきます。
多様であることは当たり前
会場には、参加者とつながりのある地域のお菓子がずらりと並びました。インド、オーストラリア、韓国、中国、ネパール、フィリピン、ブラジル、そして日本。懐かしい!これ大好きだったんだ!これカレー味!このクッキーにクミンが入っている!休憩時間には、喜びや驚きの声が上がり、参加者の笑顔が広がりました。
都内で多言語図書がもっとも充実している都立多摩図書館から借りたものを含め、韓国語、タガログ語、中国語、ネパール語、ヒンディー語、ポルトガル語で書かれた絵本と、これらの言語に訳されている日本語の絵本も合せて会場に展示しました。中国出身の高校生が展示の絵本を使って中国語学習中の日本人仲間に教える場面も見られました。
「多様であることは当たり前」というコンセプトは、作品作りにも反映させていきました。「私のいちばん古い記憶」「私のいちばん〇〇な話」(〇〇には「うれしかった」「キュンとした」「会いたい人」…など)をテーマにした、それぞれの体験を再現した作品づくりでは、主人公(各参加者自身)それぞれにとって話しやすい言語を使ってもらいました。
最終日の発表会では、合宿仲間や家族、教師たちにも内容が分るように、グループメンバーが日本語でフォローするなどの工夫をしました。参加者一人ひとりの背景にある文化も言語を大事にする。仲間同士でフォローしあう。4日間の合宿を通じて、そんな意識が共有され、行動にもあらわれていきました。
去年の参加者がサポーターとして参加
演出家、俳優、ダンサーからなるファシリテーター・チームと参加者との距離を埋める存在として、第1回の合宿に参加したOB 2名(大学生と新大学生)、OG 1名(高校3年生)、多文化をルーツに持つ大学生1名の計4名に合宿運営のサポートをお願いしました。
学生サポーター・チームには、企画の最終段階から関わってもらい、自分たちが参加した際に感じた緊張感や不安、難しさや達成感などをファシリテーター・チームに伝えてもらったり、合宿本番でゲームや活動のモデルを示してもらったり、グループに入って参加者の声を拾ってファシリテーターに伝えてもらったり、会場設営や器材の整理、配付などの運営業務にも関わってもらいました。
3日めに設けた「先輩の話を聞く会」では、自分たちの貴重な経験を後輩に伝える役目も担ってもらいました。どのような立場と距離感で参加者と関わればいいのか迷いや葛藤もあったようですが、参加者からサポーターに立場が変わることで、参加者目線でのプログラム作りを体験し、運営上の段取りや配慮、ファシリテートのノウハウなど、新たな学びにつながりました。
プログラムの構成
1日め
体を使ったゲームを通じて仲よくなる
夜はお楽しみタイム
2日め
ダンスワークや演劇ワークを体験しながら、小さな作品を作って発表する経験を積む
夜はドキュメンタリー映画「Journey to be Continued」鑑賞
(映画の概要はこちら)
3日め
最終日の発表会に向けた作品作りと仕上げ
夜は先輩の話を聞く会
4日め
家族や教師を招いての発表会、振返りの会
第3回の実施に向けて
「パフォーマンス合宿」の第3回は2020年3月28日(土)~31日(火)の日程で、大学セミナーハウスを会場に実施します。2019年9月より募集を開始する予定です。応募を検討したい、募集要項を入手したい方は、「パフォーマンス合宿」のウェブサイトをご覧のうえ、お問い合わせフォームから担当の長江にご連絡ください。なお、応募の際は在籍している学校や学習支援機関を通じて申込書を提出していただきます。
事業データ
多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」2018
2019年3月25日(月)~28日(木)3泊4日
大学セミナーハウス(東京都八王子市)
田室寿見子(演劇ユニットSin Titulo代表、演出家)
河野悟(NPO法人PAVLIC、俳優)
田中圭介(NPO法人PAVLIC、劇作家・演出家、大学講師)
田畑真希(タバマ企画、ダンサー・振付家)
劔持藍子(スペイン語通訳)
若尾颯太(2017年度合宿参加者)
高瀬杏理(2017年度合宿参加者)
山岸笑璃(2017年度合宿参加者)
長野エドワルド(大学生)
日本を含む8地域、11言語をバックグラウンドに持つ日本在住の高校生 計31名