【ときめき取材記】ニュージーランドへの「移住」をテーマにインタビュー

【ときめき取材記】ニュージーランドへの「移住」をテーマにインタビュー

荻野雅由(おぎのまさよし)

荻野雅由(おぎのまさよし)

「めやす」×「くりっく」プロジェクトの実践です。日本語を実際に使う「場」の創造と日本語学習者から日本語を使う人への移行を、オンサイトとオンラインでの人とのつながりの中で実現することができるプランです。そのつながりの中で、自分の能力や長所に気づき、協働作業をするクラスメイトについての理解を深め、自分の視野をひろげることもできるプランになっています。

2018年3月5日

Category

言語
  • 日本語
対象
  • 大学生
活動タイプ
  • インタビュー
  • プレゼンテーション
アウトプット
  • 記事
話題分野
  • 人とのつきあい
  • 地域社会と世界
  • 自分と身近な人びと

Tags

  • インタビュー
  • ウェブ掲載
  • プロジェクト型学習
  • 対話

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単元目標

カンタベリー大学の日本語学習者(中級後半〜上級)が、『くりっくにっぽん』の「My Way Your Way」と「ときめき取材記:学生が気になるあの人にインタビュー」の企画・取材・記事づくりを参考にしながら、テーマである「ときめき取材記~ニュージーランドへの移住」に合致する日本人について情報収集・調査を行い、海外生活や移住に興味がある日本人読者を対象とした記事を作成する。
対象とした読者に①「何を伝えたいのか」、②「記事を読んでもらうことから何につなげたいのか」を明確にして、このプロジェクトワークに取り組む。
 完成した記事はインターネット上に(限定あるいは一般)公開する。プロジェクトは毎年度実施し、成果物を蓄積する。次年度の履修学生に公開し、ウエッブサイトへのコメントの書き込みにより交流を図る。

インタビュー

このプランは実践したものですか。
実践してみようと思ったものですか。
実現の可能性はありますか。

日本語中級後半レベルの12週間コースの毎週1時間を使って実践したものです。

どうしてこのプランを作ろうと思ったのですか。
発想の原点はなんですか 。

教室を一歩出ると英語の環境の中で、日本語を実際に使う「場」、のデザイン、日本語学習者から日本語を使う人への移行、そしてProject-based language learningに関心があったためです。
発想の原点は『くりっくにっぽん』のmy way your wayのインタビュー記事です。インタビュー記事はよく見かけますが、TJFの千葉さんと出会い、インタビューを通してその人に核心に迫る意気込みを直接伺うことで、人とのつながりを生み出すインタビューという手法の日本語教育への応用の可能性を感じました。
以前から、日本語コースの3年生が1年生を英語でインタビューし、その学生を日本語で紹介する記事を書くというタスクを行っており、学生がインタビュータスクを楽しむことを知っていました。武蔵野美術大学の学生さんによる『ときめき取材記』の記事を読んでその質の高さに驚き、また、学生の記事をWeb上で公開する機会の存在も知り、私が担当するコースの学生にもチャレンジさせたいと思いました。

実践してみて生徒の反応はどうですか。
実践していない場合、生徒のどんな反応が予想され、または期待していますか。

学生が書いた振り返りリポートから、大変なこともあったものの、このプロジェクトを楽しんで多くのものを得たことがわかります。インタビューの仕方や記事の書き方について学んだことはもちろんですが、協働作業を通してクラスメイトのことをよりよく知ることができた、チームワークと時間の管理の重要性について学んだと書いた学生が多かったです。その人だけが持っているストーリーを知ることができるインタビューの素晴らしさを学んだという学生もいました。

このプランに対する自己評価を教えて下さい。
また、学習のめやすを取り入れた授業を試みるにあたって、どんな課題や効果があると思いますか。

「わかる、できる」をベースとし、「つながる」を実現するプランとして意義があったと思います。このプランでは「つながり」の多層性を意識し、①プロジェクトを一緒に行うクラスメイトとつながり、②特別講義担当者とビデオ会議とFacebookでつながり、③インタビューの相手とつながり、④成果物であるインタビュー記事を通して社会とつながることを目指しています。インタビューの準備段階で、TJFのスタッフの方からインタビューのこつや写真撮影についての特別講義をビデオ会議で行い、Facebook(非公開)で質問をしたり、フィードバックをもらえたことで、つながりという点でさらに充実したと思います。
単語や文型の理解や習得の評価(わかる、できる)に加えて、学びの評価項目として「つながり」を明記できることが「めやす」的授業実践の最大の魅力と強みであると思います。
多くの試行錯誤がありましたが、このプランを支える「めやす」という枠組みがあること、そして「めやす」の実践者との交流があったことで、勘や経験則に依存せず、自信を持って進めることができました。

同業者仲間に向けて、ワンポイントアドバイスや感想を一言お願いします。

インタビューの準備、実施、記事化、校正のタイミングについて、入念な検討が必要です。学生がインタビュー記事を仕上げた後、フィードバック、修正、さらにフィードバック、修正という作業が必要になるので、それを予定にうまく組み込んでおくことが重要です。
TJFのウエッブサイトでの掲載可能性があるので、学生にも質の高いものに仕上げたいという意気込みが生まれますが、大学から外に出て一般の方にインタビューをするのは緊張感を伴います。心の準備という点でも、まずクラスメイトにインタビューのリハーサルをして、簡単な記事にまとめる練習をしておくと、心理的な抵抗が軽減され本番がスムースに進むと思います。

執筆者

荻野雅由(おぎのまさよし)

荻野雅由(おぎのまさよし)

ニュージーランド・カンタベリー大学Lecturer。担当言語は日本語 (所属先、肩書きは掲載当時)

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