フランス語話者の留学生に向けて日本文化の紹介文を作ろう
大学に来ている、将来やって来るフランス語話者の留学生に向けて、日本の生活習慣を紹介する小冊子もしくはPDF作成する活動。書かせるだけになりがちな作文の授業を、伝える相手と目的を与えることで現実のコミュニケーション活動に近づけ、グループ内の協働が生まれ、自他文化の理解が深まる。
Category
- 言語
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- フランス語
- 対象
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- 大学生
- 活動タイプ
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- 資料制作
- アウトプット
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- パンフレット
- 話題分野
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- 交通と旅行
- 地域社会と世界
- 学校生活
- 日常生活
- 自分と身近な人びと
- 自然環境
- 買い物
- 趣味と遊び
- 食
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単元目標
大学にいるフランス語話者留学生、また将来来る留学生に向けて、日本の生活習慣を紹介する文をまとめて小冊子、もしくはpdfを作成する。
■この単元案のセールスポイント:
作文の授業というプレコミュニカティブ活動で終わってしまいがちな授業に、現実により近いコミュニケーション活動を行なわせるかを考えた。
学生が自分たちで伝えたいことを発見し、情報を調べ、必要な情報をピックアップして、テーマに沿って作文していくことで、作文の授業に創造的性格が加わった。また読者を想定した資料作成を目的に設定したことにより、日本語からフランス語への書き直し作業ではなく、他者に伝える文章を作成することに重点をおいた作文の授業になったのではないだろうか。学生の参加度を考えても、学習動機の向上につながっていると言えるだろう。
またグループワークで作業を行うため、テーマ設定や活動分担の決定、またフランス語に関するグループ内議論が必要となる。この点が一番困難であったという学生の声があった。しかし総合的コミュニケーション能力のひとつである、このような社会活動を意識させることも有益な学習である。ただし、教室外とのつながりを実行するには多くの障壁がある。大学に設置されている国際交流センターを通じて留学生との接点を取ることを考えたが、授業の枠内で教室外活動を実行するためには周囲の合意とそのための準備が必要となる。この点が今後の課題ではある。
さらにテーマとして日本の紹介にしたことにより、「フランス語でどういうか」を考えるだけではなく、「何を伝えなくてはいけないのか」を考えるように、フランス語圏の文化についても調べるようにさせた。相手文化を知るだけではなく、自国の文化を再発見、相対化することができるように努めた。
インタビュー
このプランは実践したものですか。
実践してみようと思ったものですか。
実現の可能性はありますか。
実践しましたが、予定していたプランを全て遂行することはできませんでした。
どうしてこのプランを作ろうと思ったのですか。
発想の原点はなんですか 。
フランス語を書く力を身につけるとともに、協働学習と自律学習へ向けての起点づくり。
実践してみて生徒の反応はどうですか。
実践していない場合、生徒のどんな反応が予想され、または期待していますか。
開始当初は戸惑いもあったようだが、時間とともに戸惑いはなくなったようだ。全般的に見て、積極的に授業に参加していた。ただし授業参加や集中力など学生間に差ができるので、学生の反応を見ながら教員が介入する必要がある。
このプランに対する自己評価を教えて下さい。
また、学習のめやすを取り入れた授業を試みるにあたって、どんな課題や効果があると思いますか。
学習者主体の授業を行うには、教員も学生も授業の方針を十分に理解していることが前提である。自発的な学習参加が必要なため、学生のモチベーション維持に注意を払わなければならない。改善できる点がたくさんある。
クラスで学生が何をすべきなのかを見失わないように、教員は常に指示を明確に出す必要がある。課題を実践しながら学生は授業のやり方を学んでいく。この段階で学生が自発的に動ければ、自律学習への第一歩となるだろう。ただし時間がかかるため、時間管理が重要となる。
また、教員同士で意思疎通をしておくことや、カリキュラムデザインの段階で授業プランを紹介し、授業についての理解を求めておくことが好ましい。
同業者仲間に向けて、ワンポイントアドバイスや感想を一言お願いします。
学生にとことん付き合うことが大切。教員の仕事量は増える。その負担を背負う覚悟があるなら、充実した授業となることは間違いない。
執筆者
「外国語学習のめやす」マスター研修の修了者(2013)。参加当時、慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師。2014「めやす」ウォーミングアップ研修in東京(11月実施)講師。