もっと知りたい人のために
~小学校について~
■ 小学校の制度 |
---|
日本の学校制度では、6歳の誕生日を迎えた子どもは、次の4月に小学校に入学します。小学校6年間、中学校3年間が義務教育年限で、全員が就学することになっています。ハンディキャップのある子どものための教室も準備されています。学校には、公立と私立があります。公立の小・中学校は授業料が無料です。 小学校は3学期制で、4月から7月までが1学期、9月から12月までが2学期、1月から3月までが3学期です。1学期と2学期の間に40日程度の夏休み、2学期と3学期の間に2週間程度の冬休み、3学期と1学期の間に10日程度の春休みがあります。 時間割は曜日ごとに決まっていて、土曜と日曜は休みです。 |
■ 小学校のクラス |
---|
小学校では、児童はクラスに所属します。クラスごとに使う教室が決まっています。同じクラスに所属する児童は、体育、音楽、図工、理科など、特別の設備が必要な教科以外は、ほとんどの教科の授業を一つの教室で一緒に受けることが一般的です。クラスは、一人ひとりの生徒の個性や適性を考慮して編成されます。一クラスの上限は40人に定められています。 一学年に2クラス以上ある場合は、2年ごとにクラス替えをするのが一般的です。クラスの呼称は1組、2組……という場合が多いようです。 |
■ 小学校の教室 |
---|
一般的に教室には、前後に黒板があり、机と椅子が並べられています。席順は決められており、多くの場合、定期的に席替えをします。教室内には、学校、クラスによって異なりますが、連絡事項や児童の作品などを掲示する掲示板、ランドセルや荷物を入れるためのロッカー、掃除用具入れ、校内放送用のスピーカーなどがあります。また、冷暖房設備、テレビ、ビデオを備えている学校やクラスもあります。 |
■ 小学校の教師 |
---|
公立の小学校の教師になるためには、大学(4年制)や短大(2年制)の教職課程を履修し、必要単位を取得したあと、各都道府県の教員採用試験を受けます。勤務校は市区町村の教育長が決定します。3年から5年程度で勤務校を異動させられることが一般的で、一つの学校に長く勤めることはありません。 教師の勤務時間は地域によって違いますが、午前8時ごろから午後5時ごろまでです。学期末や行事がある前後は遅くまで残業することもあります。 小学校では、クラス担任制をとっています。クラスを担任する教師がほとんどの教科の授業を担当します。ただし、3年生以上は、音楽や図工など一部の教科で専門の教師が授業を行うのがふつうです。 |
■ 小学校の教科 |
---|
日本の小学校で学習する教科は学校教育法によって決められています。第1、第2学年の教科は国語、算数、生活(理科と社会を統合したもの)、音楽、図工(絵画や工作)、体育、道徳、特別活動(学級会など)です。第3、第4学年は生活に代わって社会と理科、総合的な学習が加わります。第5、第6学年にはさらに家庭(料理や裁縫など)が加わります。 文部科学大臣が告示する学校教育の教育課程の基準です。各学校とも学習指導要領に従った教育を行うことが求められています。学習指導要領は、幼稚園、小学校、中学校、高校の段階別に作成されており、各教科、科目について、卒業までに履修すべき単位数およびその履修方法などが定められています。 小学校から高校まで、民間の出版社が学習指導要領に従って制作し、政府の検定に合格した教科書が使われます。義務教育(小・中学校)の教科書は無料で配付されます。 2002年度から、小学校3年生以上を対象に導入された科目です。週3時間程度あります。画一的といわれた従来の授業形態を変え、a.)地域や学校、子どもたちの実態に応じ、学校が創意工夫して特色ある教育活動が行える時間、b.)国際理解、情報、環境、福祉・健康など、教科にまたがるような課題に関する学習を行える時間、とすることを目指しています。 |
■ 児童に対する評価 |
---|
評価は、各学校が採用している評価表によって、学期ごとに行われます。クラスの担任によって、評価方法に多少の違いがありますが、教科書の単元ごとに行われる小テストと日ごろの学習態度などから総合的に判断することが多いようです。 |
■ 課外活動 |
---|
小学校の4年生以上は、特別活動として授業時間内にクラブ活動を行います。たとえば、イラスト漫画、造形、パソコン、バドミントン、卓球、バスケット、料理・手芸、ゲーム、ソフトボール、科学、ダンスなどがあり、月に1回程度活動します。そのほか、地域と連携して希望者のみ参加する課外活動を行っている学校もあります。 |
■ 習い事 |
---|
学校では学べないことや、授業時間が少ないために十分に学べないことを学ぶための教室もたくさんあります。その多くは趣味に属することです。最近は、水泳、音楽、英語、習字、サッカーや野球などを習う児童が多いようです。 習い事に通うのは週に1回か2回、時間は放課後の2時間ぐらいという人が多いようですが、いろいろなことに興味を持ち、3つの塾や習い事にかよっているという忙しい児童もいます。反対に、まったく習い事をしない児童もいます。 日本の習い事は古くからの伝統があります。江戸時代には、すでに都市にはさまざまな手習いや稽古事の教室が成立していました。現在でも、幼稚園児からお年寄りに至るまで、多くの人が習い事をしています。 |
■ 宿題、家庭学習 |
---|
家庭学習の習慣をつけるため、毎日何らかの宿題が出されることが多いです。そのため、教科書は毎日持ち帰ることになっています。内容は、日々の復習予習が中心で、教科・科目の内容によっては長期的な課題も出されるなど、多様です。最近では、学習だけでなく「友だちと遊ぶ」「上靴を洗う」などが宿題として出される場合もあります。 また、1年を通じて最も長い休みである夏休みにも宿題が出されます。たとえば、読書感想文、あさがおやひまわりを育てて観察日記をつける、図画工作、自由研究などがあります。 |
■ 児童の組織化 |
---|
日本の学校では、クラスをいくつかの班(通常5、6人で構成されるグループ)に分け、クラス運営に必要な活動を分担して行います。 活動の内容には、授業中のグループ学習をはじめ、当番制で行うそうじ当番や、給食の配膳を行う給食当番などがあります。また、日替わりまたは週替わりで日直/週番が、その日のクラスの仕事を担当します。担当する内容には、ホームルームの司会をする、連絡事項を伝える、学級日誌をつけるなどがあります。 さらに、クラスではさまざまなクラス運営に必要な作業を各係で分担して行います。係には、たとえば図書係、学級新聞係、保健係のほかに、プリントの配付、ビデオの用意など授業の準備をする各教科係などがあります。 そのほか、5、6年生全員が委員会に所属して、学校全体の活動に関わります。たとえば、園芸(花壇を管理する)、放送(校内放送を行う)、整備(落とし物などを管理する)、保健(健康促進のための活動を行う)、運動(運動会を運営する)、図書(図書室の本を管理する)、集会(全校集会を運営する)、飼育(飼育小屋を管理する)、新聞(学校新聞を作る)、給食(給食に関する連絡をする)、計画(全校で行う行事を計画する)、代表(学校全体の問題を検討する)などの委員会があります。 |
■ 給 食 |
---|
公立の小学校では、昼食に給食が出ます。給食は教室で、児童と担任の先生が全員そろって食べます。日本の小学校では給食の時間に限って教室内で飲食をすることを認めています。給食の費用の一部は児童の保護者が負担します。地域によって違いますが、平均1ヵ月4000円くらいです。2004年度の学校給食の実施率は、小学校99.4%、中学校82.4%、夜間定時制高校70.2%です。 給食は、基本的に学校内の給食室で調理されます。給食室のない小・中学校には、地域の給食センターが給食を調理し各学校に配達します。どちらの場合も、管理栄養士が小学生の成長に必要な栄養素と費用を計算して、毎日の献立を決めています。 学校給食は、第二次世界大戦後、国民全体の栄養状態が十分でなかったときに、児童の栄養を補うために導入されました。現在、小中学校の給食には、正しい食習慣を身に付けさせるとともに、配膳することを通じて友人と協力することを学ぶという教育的な目的があります。 最近では、お弁当の日を設けたり、希望のメニューを選べるカフェテリアを設けたりするなど、柔軟性を持たせる試みも行われています。 |
■ 小学校の行事 |
---|
日本の小学校には年間を通じて多くの行事があります。たとえば、ある小学校では、以下の年間行事があります。 4月…始業式、入学式 5月…開校記念日、移動教室(5年) 6月…運動会、区連合音楽鑑賞教室、移動教室(6年) 7月…参観保護者会、終業式、夏季休業始まり 8月…夏季休業終わり 9月…始業式、学校見学 10月…連合運動会 11月…学芸会、連合音楽会 12月…個人面談、終業式 1月…始業式、校内書き初め展 2月…卒業遠足(6年) 3月…6年生を送る会、終業式、卒業式 |
○ 入学式
学式は新学年度が始まる4月に行われます。入学式では、入学する児童・生徒、保護者、教員ほか関係者が一堂に集まり、校長や来賓の祝辞や、在校生の歓迎のあいさつが行われます。 |
○ 遠足・移動教室
春または秋に行われます。博物館などで見聞を広めたり、自然に親しんだりすることができる場所に学年全体で1日かけて行くことが多いです。 |
○ 運動会
小学校の運動会は春か秋に行われるのが一般的です。全校を紅白の二つのチームに分け、徒競走や障害物競走、玉入れ、リレー、騎馬戦、ダンスやマスゲーム、組体操などの演技、保護者や教師が参加する競技など行います。運動能力で勝敗を競う競技だけでなく、娯楽性のある競技や知恵や技を競う団体競技が多く取り入れられています。運動会の日は、保護者がお弁当を持って、競技を見に来ます。お昼には、子どもと家族が一緒にお弁当を食べます。子どもにとっても家族にとっても、楽しい行事の一つになっています。 |
○ 学芸会
学芸会では、児童が学年ごとに練習した芝居などを舞台で発表します。多くの学校では、体育館に舞台が設置されているので、体育館で学芸会が開かれます。学芸会は、教師や児童だけでなく、父母や祖父母のほか、近所の人など一般の人たちも見ることができます。児童は通常の授業時間を使って、芝居の練習をします。 学芸会は、舞台装置や衣装などの準備が大変なため、学芸会と音楽会または展覧会を隔年で開く学校が多いようです。児童の表現力を養ったり、協調性を培ったりすることが学芸会の目的です。 |
○ 書き初め大会
書き初めとは、年が明けて、初めて筆で書を書くことをいいます。通常、1月2日に行われます。小学校の場合は、冬休みが終わり、3学期が始まってすぐ、1月中旬ごろに、児童全員による書き初め大会が行われ、ふつうは学年ごとに与えられた課題(たとえば、「今年の夢」「明るい年」など新年にふさわしい言葉が課題となる)を書きます。優秀な作品には金賞、銀賞などの賞が与えられます。また、児童たちが書いた作品は、学校内に展示されます。 1、 2年生は筆ではなくフェルトペン(太めのペン)で書き、3年生以上は筆で書くことが多いようです。 |
○ 卒業式
卒業式は、学年度末の3月に行う学校が多いです。式の内容や雰囲気は学校によって異なりますが、一般的には、教員、関係者、保護者が卒業生を会場で迎え、校長のあいさつ、卒業証書の授与、在校生の送辞、卒業生の答辞、来賓のあいさつ、歌斉唱などが行われます。 |