オーストラリア出身のよしもと芸人、チャド・マレーンさん。松本人志監督作品の海外向け英語字幕も手掛けています。
高校時代に来日。「地球一面白い!!!」と確信した、ダウンタウンのしゃべりを理解したい一心で実践したことは?
▼笑いがとれたら、どこに行っても、どんな目にあっても大丈夫!
初めて日本に来たのは15歳、半年間の交換留学でした。オーストラリアから出るのは初めてで、「タダで飛行機乗れるやん、ほな行こう!」という、めっちゃ軽いノリでした。ホームステイ先がお笑い大好きな一家だったので、最初は言葉がわからなくても吉本新喜劇など笑えるところから入って、まわりがボケやツッコミなどいろいろ教えてくれました。
ある日、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」を観たとき、日本語はまだよく理解できなくても、ただ匂いで「これはたぶん、地球一面白い!!!」というのだけはわかったんですね。それから毎週、録画して、辞書調べながら何度も何度も観て、とにかくダウンタウンさんのしゃべりを分かるようになりたい、その一心で日本語を勉強しました。
帰国するとき、全校生徒の前でお別れのスピーチの代わりにネタをやったら、これがウケまして。初めてのひとり舞台で笑いをとって、めちゃくちゃ気持ちよかったです。それで、国に帰って高校を卒業してから、バイトでためたお金でNSC(吉本興業のタレント養成所)に入学しました。芸人になれるっていう根拠のない自信がありましたね。
漫才コンビ「ザ・ぼんち」の、ぼんちおさむ師匠に弟子入りしてから、敬語の使い方、芸のことなど、いろいろ教わりました。なかでも、師匠に言われて一番心に残っているのは「おもろかったらええやん」ということ。めっちゃ単純ですけど、今まで生きてきた中で一番ピンとくる言葉でした。これを軸に置いておけば、何か困ったり悩んだりしたときも、人生どうにでもなる。面白くなかったら面白くする方法を考える、面白くならなかったらやめる。
僕の世界を拡げてくれた隣語は「お笑い」です。笑いがとれたら、どんなところに行っても、どんな目にあっても大丈夫やろ、と。子どもの頃はまさか日本で芸人になるとは思ってなかったですけどね。人生、何がどうなるかわからんから、迷っているならとりあえずやってみたら?