めいきんぐ☆授業

グローバルな問題を自分のものとして考える

I.詩と私と「福島へ」

ニシムラ・パーク葉子

オーストラリア・NSW州教育地域社会省中等教育部アジア言語学習推進プログラム支援オフィサー

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私は子どもの頃から詩を読むのが好きだった。小学校低学年のとき初めて買ってもらった詩集はサトウハチローの『お母さん』だった。詩らしきものを書いてみるのも好きだった。中高の頃には自分の理解がおよばないこともあまり気にせず、ボードレールや三好達治の詩を暗唱することに気持ちよさを感じていた。

暗唱といえば、中学だったと思うが、小倉百人一首を暗記するという冬休みの宿題が出た。歌の意味は二の次で、とにかくほとんど音として記憶した覚えがある。あの後何十年も経って平安時代の結婚形態や、社会の仕組みの中での女性たちの地位、あるいは歌人たちがたどった人生等を知って、初めてその音として記憶した歌が鮮やかな色を放ちながら激しい力を持って心に迫ってきたことを覚えている。千年以上の時を超えて伝わってきた言葉の力は、変わらぬ人の感情だった。

「福島へ」という詩をくりっくにっぽんで見たとき、これだ!というインスピレーションがはじけた。私は継承語としての日本語の12年生のクラスを担当しており、シラバスに挙げられているテーマの一つ、「地球市民としての個人」というテーマで、単元をデザインしようとアイディアや教材を探していたのだ。


ニシムラ・パーク葉子 ニシムラ・パーク葉子
オーストラリア・NSW州教育地域社会省中等教育部アジア言語学習推進プログラム支援オフィサー

1990年、ハイスクールの日本語教師として渡豪。1998年よりNSW州教育地域社会省勤務。外国語としての日本語の教材開発を専門とし、現在アジア言語を奨励する企画等を進める。共書に日本語の教科書「未来」シリーズ、「iiTomo」シリーズ (Pearson Education) がある。ここ数年、継承語としての日本語教育に携わりこの分野における教材開発に意欲を示す。

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