グローバルな問題を自分のものとして考える
グローバルな問題を自分のものとして考える
詩に焦点を当てて授業を行うのは今回が初めてだった。自分が高校のときにうけた詩の授業を思い出したり、手元の詩集を読み返したり、家族の助けも借りた。過去40年間俳句を書き続けている母に、俳句の心得のようなものはあるのか、どうやって書き始めるのか、と助言を求めたりした。また、私は英語の詩にはうといので、英語の文学や詩に強い息子からのアドバイスも貴重だった。現代国語教科書の指導資料やオンラインでの教授法に関するサイトも参照したが、中でも愛知教育大の佐藤洋一氏の「詩の魅力と読み方を教える授業」(昭和63年)が大変参考になった。
詩とは何か、どんなテクニックが使われるのか、などを学習した後、「福島へ」の詩だけを取り出して、作者や背景を伏せたまま鑑賞させた。
https://www.tjf.or.jp/clicknippon/ja/mywayyourway/02/post-3.php
そして以下の問いかけに対し、生徒は次のように答えた。
【質問1】何歳ぐらいの人が書いた詩だろう。
一番多かった答えは20歳から25歳ぐらい。次に15歳から20歳だった。中学生が書いたことを知って、生徒たちはその若さに驚いていた。
【質問2】 どんな比喩を使っているか。
「福島」を人のように見立ててたくさん質問している。
【質問3】 いくつも質問していることについてどう思うか。
「この詩を読んだ人が自分に問いかけるように質問している」
「君は今、何をすべきかわかりますか-これがキークエスチョンだ」
「一般的な質問から個人的な質問に変わっていっている」
「最後の行、僕は今・・・が、初めの 君は今・・・に繋がっている」
【質問4】 どんな気持ちが表れているか。
「福島が心配」
「差別されているけど、それでも楽しい気持ちがわかりますかと聞きたい、そういう気持ち」
「最後のラインに心配している気持ちが表れている」
「今何を考えていますかというところに、将来のことが心配な気持ちがあらわれている」
【質問5】 恋(あるいは失恋)をしたことがあるか、なぜそんなことを聞いたのだろう。
「原発のことでいろいろな差別をうけているけれど、(野菜などもフクシマで取れたものは安全じゃないのでは、という差別を受けている)福島の人も恋をしてもいいんだよというメッセージだ」など。
ニシムラ・パーク葉子 | |
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オーストラリア・NSW州教育地域社会省中等教育部アジア言語学習推進プログラム支援オフィサー | |
1990年、ハイスクールの日本語教師として渡豪。1998年よりNSW州教育地域社会省勤務。外国語としての日本語の教材開発を専門とし、現在アジア言語を奨励する企画等を進める。共書に日本語の教科書「未来」シリーズ、「iiTomo」シリーズ (Pearson Education) がある。ここ数年、継承語としての日本語教育に携わりこの分野における教材開発に意欲を示す。 |
教材づくりで大切にしていること
ニシムラ・パーク葉子
2021.06.15
グローバルな問題を自分のものとして考える
ニシムラ・パーク葉子
社会との関わりをうむプロジェクト
稲原教子