2003年10月号 自分の力を伸ばしたい |
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写真を始めたのは高校1年の頃、でもあまり真面目にやらなかった。高校2年の終わり頃から、「写真でいこう」と意識を変えて、積極的に撮るようになった。その頃、自分で撮った写真について、いろいろ言われると腹が立ったり、反発したりした。特に若い頃写真をやっていたことのある父の言うことが厳しかった。自分の技術が未熟なことが分かって、泣きながらそれを認めるのってつらかった。 アンコールワットを見たいと思って、去年の夏、家族でカンボジアに行った。見るものがすべて珍しく、何も考えずに撮りまくった。できあがった写真について、みんな「いいね」と言ってくれたけど、それはカンボジアがいいだけであって、私の写真がいいわけではなかった。その時、本当に自分が無力であることを知った。 そのあとすぐにTJFのコンテストに出すための撮影にとりかかった。必死になって莢花だけを撮った。莢花はすごく変なやつ。高校2年の時、突然、髪の毛を切って坊主になったり、考えることも一味違う。ボケーとしているかと思えば、誰よりも深く考えている。考えすぎてたまにマイナス思考に陥ったりするのが欠点。でも、そんな莢花にひかれるのは、きっと莢花自身、自分のことをいちばん理解していて、自分の「個性」を持っているからだと思う。 コンテストの写真を撮りながら、お互い言いたいことを言い合って、思っている気持ちも素直に出して、相手のことを理解することができた。それはそれでいいのだけれど変に知りすぎてうまくいかなくなって対立することもある。でも莢花とは大の仲良しだ。 コンテストでの受賞は、私の写真生活の第一歩になると思う。これからは、しっかりとした技術を身につけ、自分の力を伸ばしていきたい。 自由の森学園高等学校
田中舞 |
『国際文化フォーラム通信』第58号より。 |