中国茶を振舞おう
中国語の授業で茶芸について学んだあと、学習したことをアウトプットし、さらに近隣に住む中国の人々と相互理解を図ることを目的に文化祭とオープンキャンパスにおいて中国茶をふるまう。日本と中国の茶文化に関するリサーチも行い、その関連性や相違点を分析して、文化理解の視点を養う。
Category
- 言語
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- 中国語
- 対象
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- 中高生
- 活動タイプ
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- アウトプット
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- 話題分野
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- 食
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単元目標
1. 中国茶の作法の練習、実演(文化祭、オープンキャンパス)を通して、中国文化への理解を深め、中国の人々と積極的にコミュニケーションをとることができる。
2. 初回のお点前の実演(文化祭)の後、表現やコミュニケーションストラテジーにおいて何が欠けていたのか内省し、それを次の実演の機会(オープンキャンパス)に生かすことができる。
3. 日本と中国の茶文化に関するリサーチ、文化祭での茶道部の茶会(日本茶)の体験を通して、その関連性や相違点を分析することができる。
インタビュー
このプランは実践したものですか。
実践してみようと思ったものですか。
実現の可能性はありますか。
実践したものです。ただ授業の進度の関係でできなかった部分もあります。
どうしてこのプランを作ろうと思ったのですか。
発想の原点はなんですか 。
2012年夏、TJF高等学校外国語教師研修に参加し、『外国語学習のめやす』についての講義を受けたことがそもそものきっかけです。『めやす』の「人、情報、モノとの連携」というコンセプトが、本校の「中国語エリア」という授業で生かせるのではないかと思い、実践してみることにしました。
実践してみて生徒の反応はどうですか。
実践していない場合、生徒のどんな反応が予想され、または期待していますか。
「茶芸」という体験型の授業だったので興味をもって取り組んでくれました。けれども、お茶を点てながら中国語で説明をし、中国の人々とコミュニケーションをとるというのは難しかったようです。
このプランに対する自己評価を教えて下さい。
また、学習のめやすを取り入れた授業を試みるにあたって、どんな課題や効果があると思いますか。
今回の実践では収穫もあり反省点もあったというのが正直なところです。
授業案には「茶芸を披露しながら、中国語でコミュニケーションをとる。」という最終目標がありましたが、言語学習がそれ自体で完結するのではなく、文化理解や人と連携するためのツールとして意識されると生徒一人一人の学びへのモチベーションが大きく向上するのだということを実感できました。
課題としては、まずノンネイティブ教師が今回のようなテーマ型学習を行っていくのは容易ではないということが挙げられると思います。実際、本実践では、スクリプトの作成時にネイティブチェックを何度も繰り返したという経緯があります。本校では外国語指導員の協力を仰ぐことができましたが、どの学校でもそれが可能になるとは限らないのではないでしょうか。
また、今回の授業案は勤務校が変われば実践が難しくなると思いました。本校では外国にルーツをもつ生徒を受け入れていることもあり、文化祭やオープンスクールにおいて生徒本人やその家族、友人と中国語で話す機会を得ることができます。今回はそれを前提に立案しているわけです。けれども実際のところ日本国内の高校では外国語教育に特別な配慮があるところを除けば、ハード面でもソフト面でもこういった環境を整備するのは容易ではないでしょう。確かに「人・モノ・情報との連携」ができるような場を設定することは理想ではありますが、限られた条件の中でも実践できる案を合わせて考えていくべきではなかったかと思います。今回の授業案を例にとってみれば、もし中国茶芸の指導者がいなければDVDやウェブを利用したりしてもいいでしょう。作法の実演を中国の人々の前でできなければ、日本人生徒を中国人に見立てて行うこともできます。限られた条件の中で疑似的な環境を作りながら理想と現実のギャップをうめる指導案の方が汎用性も高くなるのではないかと考えています。
同業者仲間に向けて、ワンポイントアドバイスや感想を一言お願いします。
拙案についての問題点や改善点を指摘していただければ幸いです。
『めやす実践web』では授業案を共有できるようになっていますが、さらにその授業で使うワークシートやスクリプト(特に日本人教師が作成しにくいもの、ネイティブチェックを必要とするもの)なども合わせてシェアできれば授業を行う際の負担が軽減され、『めやす』の理念に沿った実践に取り組みやすくなるのではないかと思います。
執筆者
「外国語学習のめやす」マスター研修(2015)の修了者。参加当時は大阪府立門真なみはや高等学校教諭(中国語担当)。