7回目の今回を迎えて、特に2つ考えさせられました。1つはコンテストの目的についてです。高校生の生き方や暮らしぶりを文化としてとらえて海外の高校生に発信していくことが目的でしたが、もう一度この原点を見つめなおすことが必要ではないかということ。2つ目は、なぜメッセージが求められているのか、メッセージとは何なのか、ということです。
作品を審査しながら、とりわけ感じた点は次の4点です。@主人公を追って1年間向き合ってきた撮影者が、主人公の成長を通して人間の成長とは何かを実感したというコメントです。奨励賞の後尾さんの作品がその代表です。A撮影者が主人公の回りの友人や人々とまで、写真を撮ることによって人間関係を深めていったというコメントです。B撮影者と主人公が対話しお互いに学びあうことができたというコメントです。例えば審査員特別賞の松永さん、奨励賞の岩田さんの作品にその対話が見られます。C主人公のメッセージの中にも評価すべきものが多いこと。努力賞を受賞した加藤さんの作品の主人公・松井さんは、落ち込んでいた時に主人公になってほしいと言われたことによって自信を得ることができたと感謝の気持ちを述べています。
今回課題として特に感じたのは次の3点です。@現代の高校生の生き方、暮らしがパターン化されていないかということ。もっと幅の広い生き方がきっとあるはずだし、もっとその生き方を掘り起こしてほしいということ。Aメッセージ、他者にぜひこれを伝えたいという体験を通した願いや希望、訴えが弱いということ。B「私とあなた、そしてみんな」という相互理解、人間関係の広がりが弱いということです。
今後もこのコンテストを続け、さらなる発展を期していく上で、次の2点を提起したいと思います。その1は、高校生へのアプローチの仕方を再検討すること。その2は、撮影者と主人公の人間関係を踏まえ、メッセージを両者の協働によって作成することです。
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