今回の審査で強く感じたことは、昨年とは違い、撮影者が主人公になった友人に興味を持ち写していることです。とてもよい傾向だと思いました。同時に、余りにも頭の中で計算してその通りに撮ったために、撮影者の思いが先に出てしまい、主人公その人の生活ぶりや考え、心、行動が、写真には希薄になった作品もありました。撮る前に考えることは大変重要なことです。主人公を知ることも大切です。主人公とのコミュニケーションをよくすることによってより親しくなり、よそゆきでないありのままの姿を出してもらえる。それが主人公の魅力を撮影するポイントです。
指導する写真部の先生の熱心度に応じて、良い作品が出来ていることも感じました。しかし、あまり先生の指導が良すぎると、作品の傾向が同じになってしまうようにも感じられました。次回はその点に気をつけていただければと思います。
最優秀賞は、えんどうの花という意味の名前の主人公を撮った作品です。技術的には課題がありますが、自分の感じたものをストレートに写しており、技術的には少し荒削りですが見る人に感動を与える作品です。主人公の核心に触れており、その暮らしぶりや考え方、行動を表現しているという強さで最優秀賞に選ばれました。考えたとおりに撮るのではなく、考えた上で頭を真っ白にして主人公に体当たりで撮ることが大切ですが、それに近い写真の撮り方をしています。ただし3人並んでいる記念写真だけは異質な感じがします。これだけストロボをたいてくっきり写してしまったために、あとの4点のイメージからはかけ離れてしまいました。
優秀賞に選ばれた2点の作品は、オーソドックスな形で主人公を撮影したものですが、内容及び技術、表現ともによく、甲乙つけがたい作品でした。年々質のよい作品が集まっているので来年が楽しみです。
|