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第8回コンテスト(2004年)の入賞作品
奨励賞 |
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「高橋 the
World」
佐野尚人 身延山高等学校(山梨県)
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高橋普通型装備
いつもの彼は作務衣を着ています。見慣れればこれが普通になってしまいます。
*作務衣とは和風の作業服のことです。 |
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高橋法要型装備
僕達の学校では学校全体で法要出仕し、そのとき仏教コースは衣を着ます。 |
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高橋高機動型装備
体育での1コマ。いつも彼はこのようにじゃれています。ジャージを来た彼は本当に身軽になります。 |
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高橋電池切れ
高橋はいつも朝はこうなっています。 |
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高橋キラースマイルモード
カメラの前で笑わない彼が笑ってくれた。はじめてだった。 |
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高橋は、家が静岡県の清水にあるので朝6:00には電車に乗って通っています。朝の通学用のバスの中ではいつも寝ています。あまりの朝の早さに、最高で17駅も電車をのりすごしてしまったこともありました。そんな高橋ですが学校に着いたとたんテンションが上がり、朝とは違う顔を見せます。
彼は小説に情熱と愛情を注ぎます。それは読むことであったり書くことであったりします。それは授業で発揮されることもあります。自分が意外だったことは、めんどくさがりの彼が手話クラブに入ったことです。手話は覚えることが多く大変なのにどうしてだろう、と思っていたので聞いてみたら、「小説のネタになりそうだし、手を動かすだけだから楽」と言い切りました。さすが、自分の利益を最優先に選ぶ高橋だと思いました。学園祭でも手話劇「赤ずきんちゃん」のナレーションをやり、新しい一面を見せてくれました。高橋の夢は小説家になり印税で家を建てられるくらいにはなりたいそうです。彼は僕の高校卒業後の進路にまで影響を与え、道を照らしてくれました。高橋に会う前の自分の夢は、プラモデルとフィギュアを作る造形師だったのですが、ある日、彼が絵を描いていた自分に言ってきたんです。「ロボットしか描かないのは人としてどうかと思うよ」と、それを聞いたとたん自分のなかで何かが目覚めました。「キャラクターも描けなくちゃいけないんだ」その時から、いろんな資料や雑誌、マンガ本を見て勉強しました。そして気づくと造形師を目指していた夢がイラストレーターへの道へと変わっていました。「高橋、お前のおかげで夢が開けたぞ」と言うと彼は「なに、ただ俺は扉を開いただけだ」と言ってくれました。それに学園祭でイラスト同好会の出展作品に高橋がシナリオをやり、自分が絵を描いた絵本を展示しました。それなりに好評でした。
高橋は友達だけど師匠(せんせい)みたいな存在だと思いました。これから一生大切な友達として付き合っていきたいです。 |
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私の大学受験は11月に推薦入試に合格、というカタチで華々しく終えることができた。あとは卒業するだけだ。と思っていたら、同志である佐野尚人氏(撮影者)に主人公を頼まれた。同志である以上、断るわけにもいかない・・・。同志・尚人は努力の人だ。メカ系のイラストしか描くことしかできなかった彼に辛辣な(というか毒舌そのものの)アドバイスをくれてやった。たった、それだけのきっかけで彼は成長した。三年間、1095日という日数の中を、彼は努力だけで勝ち抜いてきた。今では校内随一のイラストレーターであろう。お世辞ではない。彼は本当に、上手い。進学先は某アニメーション学院だというから、未来の彼はもっと上手く、巧くなっているだろう。貪欲に向上を求める精神、好きだからこそ努力すると言う素直さは、彼の才能であり、賞賛すべき人生スタイルであろう。彼はまた、お人好しでもあり、人付き合いもいい。平凡だが、それ故に、誰もが認める好青年なのだ。彼はプロのイラストレーターになる。人生を賭けてもいいほど大好きな道を歩いていく。私とて、例外ではない。故に同志なのだ。私はライトノベル作家となる。彼の世界とは遠くない、むしろ縁深い世界へと前進していく。彼の存在は同志、そして盟友だ。彼がクラスメイトとして傍にいることが、とても嬉しい。
私は彼を成長させただろう。そして成長した彼はとても素敵な好青年となり、逆に私を成長させてくれている。私は彼という人間に恥じることのないようにこれからも、ただ前へ前へと成長していかなければならないだろう。
ここ一年間で得た、盟友、同志としての自覚。これこそが、今私の心の中で眩く輝いている。友人というものは、かくも素晴らしい人生の宝である。 |
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