最優秀賞を受賞した松永さんの作品は、写真もメッセージも優れています。「大学に合格して環境学を学び、世界の現状を少しでもよくしたい」という夢を実現するために、一生懸命に努力している若者の姿を、難しい英語の長文を勉強し、塾から夜11時過ぎに帰宅するところまで写し、5枚の写真で西村君の生活態度を遺憾なく表現しているところが素晴らしいと思います。
優秀賞の下地さんは、近くに寄って主人公の表情をアップで写す一方で、木登りする姿を周辺の環境を入れて写すなど、フットワークがよく、またカメラワークも素晴らしい作品です。高校生として学ぶ姿も、三線を作るおじいさんと一緒にいる姿で、沖縄という地域性も表現しており、主人公のドラマを生き生きと写し表現しています。
同じく優秀賞の岩田さんは、主人公がお父さんの自動車整備工場で仕事を手伝う姿や、ガールフレンドでもある撮影者と仲良く写っている姿など、高校生活を謳歌して過ごす日々を、自然な形でとらえています。撮影者と主人公の呼吸がうまくあっているところが見事です。
いずれの作品も、撮影者が自分のイメージを押しつけるのではなく、主人公の姿を追うことで、「高校生の生活を撮る」というこのコンテストの目的に、最上の表現をしていると思います。また撮影者が作品をつくりながら主人公を見つめ、考え、自分の人生についてまで自問して成長していることが、文章からうかがえます。写真でその経験を表現することは大変難しいのですが、これは参加した高校生にとっては、友だちを知り、学生生活を再確認する大きな一歩だと思います。今回もこれだけのレベルの作品が集まり、コンテストが高校生の間で定着しているのは素晴らしいことです。
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