撮影と交流の記録・広島県
ホテルから原爆ドームまで歩いて約10分。もう全身から汗が噴出してきました。人波をかき分けて原爆ドーム前に到着してしばらくすると、原爆投下の時刻、8時15分を知らせる鐘の音が鳴り、その場に集った人々は一斉に黙とうをはじめました。
テレビ中継される公式行事は公園の奥で厳粛に執り行われており、ドーム周辺には実にいろいろな人が集まってきます。花束や千羽鶴を持ってお祈りにやってきた人、核兵器廃絶や戦争反対を訴える人、小中高校生の学習グループ、また、安倍首相の退陣や労働者の問題について拡声器で喚き散らす人や、布教活動をしている人などもいます。本当にいろいろな人がいます。拡声器を使って大声で主張を続ける人々の横で、慰霊碑に向かって静かな祈りを捧げていたご婦人が、両手で耳を塞ぎながら悲しそうな顔をしていたのが印象的でした。平和を願う気持ちは大切ですが、声高らかに叫びすぎると、気持ちはどこかへ失せてしまうのかもしれません。
公園は独特のお祭りムードで、とても写真が撮りやすかったです。様々な活動をしている人に次々に声をかけて、4人は積極的に写真を撮っていました。お昼近くなると人が少なくなりはじめ、公園の裏の方では被爆体験について語り継いでいるおじいさんやおばあさんに会うこともできました。
撮影終盤、なんと、さわこが田村先生を追いかけて走っています! ビックリしました。さわこは自分の好きなものがよくわかっていて、自分の撮影スタイルを持っているから、あまり他人のアドバイスを必要としていないように僕には見えたのです。その彼女が、あえて自分のスタイルを捨て、田村先生の後を追いかけて一緒に撮影してみることで、自分から新しいものを学ぼうとしているのでした。感動しました。みんなそれぞれ一生懸命に頑張って、チャレンジしているんだなって思ってうれしくなりました。